抄録
電子の「電荷」と「スピン」の自由度を利用した集積電子デバイス,スピンデバイスの研究が進展している.これまでにスピンデバイスとして様々なものが提案されており,特にスピン流によって誘起される磁化ダイナミクスを動作原理とする磁気抵抗メモリや磁性体発振素子,強磁性細線素子は省電力・高機能を実現するBeyond CMOS デバイスとして群雄割拠の様相を呈している.本稿では,物質や材料によらない普遍的な設計論/制御論の確立に向けて,数理的な視点からデバイスダイナミクスを捉えることによってスピンデバイスを最適設計する手法:ダイナミカルシステムデザインを提案する.はじめに,提案手法の基礎となる,非線形分野で発展したダイナミクスベースの設計手法について概観する.次に,代表的なスピンデバイスのダイナミカルシステムとしての動作特性について示す.更に,磁性体発振素子アレーの様々な同期機構の設計に提案手法を適用した取組みについて紹介するとともに,提案手法の枠組みを最適制御に拡張する試みについて展望したい.