2016 年 9 巻 3 号 p. 229-237
近年,高信頼な遠隔制御をターゲットとした通信技術の確立が重要となっており,制御理論を利用した通信ネットワークの研究が注目されている.特に,パケット損や遅延を考慮したネットワーク化制御の研究や通信品質を考慮したデータ伝送方式に制御理論を活用した研究が行われている.本稿では,光グリッドとコグニティブ無線を対象に,制御理論を利用した資源管理技術を紹介する.光グリッドに対する資源管理技術では,計算機資源と波長資源の有効利用を目標として,PID制御とモデル予測制御をそれぞれ使用する.一方,コグニティブ無線に対しては,送信電力を調整して無線資源を有効利用できるように,PID制御とモデル予測制御をそれぞれ使用する.これらの資源管理技術に関して,どのようなモデル化が行われているか,PID 制御とモデル予測制御がどのように利用されているかなどについて説明する.