抄録
1970年から1973年の間に市販されたマウス・ラット用固型飼料および1973年に市販されたイヌ, ウサギ・モルモット, サル, 雛用飼料の有機塩素系農薬 (BHC, DDT, アルドリン, デイルドリンおよびエンドリン) の残留量をガスクロマトグラフィー (ECD-GC) により定量してつぎの成績をえた。
(1) マウス・ラット用固型飼料中の総農薬残留量は1970年から1973年に減少傾向を示した。
BHC異性体のうちα-BHC含量の変化は著明だったが, β-BHCおよびγ-BHC含量はほとんど変化がなかった。デイルドリン, pp'-DDTはわずかであるが減少傾向を示し, アルドリンおよびエンドリンはほとんど検出されなかった。
(2) イヌ, ウサギ・モルモット, サル, 雛用各飼料の総農薬残留量はマウス・ラット用固型飼料とほぼ同程度であった。
(3) 各種飼料原料8品目の総農薬残留量は, 小麦粉, トウモロコシ, 大豆粕, 脱脂粉乳に比べ, フスマおよび魚粉が多かった。前者では, α-BHC, および後者ではβ-BHCが多く, pp'-DDTは脱脂糠にもっとも多かった。