抄録
Brucella canis3.2×108個を経口接種した6頭の雄犬と2頭の自然感染雄犬を用い, 尿と血液中の菌検査ならびに血中凝集抗体価について毎週調べた。尿中への菌の排泄は, 菌接種4~8週後, 菌血症の開始からでは1~3週後に始まり, 約1~1.5年間継続した。感染初期における尿への多量の菌排泄に続いて, 間欠的にあるいは約1~6カ月の間, 菌が検出されない期間が認められた。各イヌの尿中における最高菌濃度 (2.5×104~1.5×106個/ml) は, 菌接種後6~14週の間に認められた。経口感染したイヌの血中凝集素価は3~5週後から陽転し, 1: 640~1: 2, 560を保って推移したが, 40~56週頃より下降する傾向が認められた。自然感染例の1頭は菌血症が認められなくなった後, 約半年間疑陽性の凝集抗体価 (1: 160) を示しながら, 尿からのみ菌が検出された。