抄録
安全性試験における実用的な視覚検査方法を検討するため, Y字型装置を用いて, 無処置, 暗順応および眼瞼縫合群を設定し, ラットの暗所指向性と照度との関係について検索した。得られた成績は以下に要約された。
1) 無処置群では30luxの条件下で1600luxの条件下と同等の98%の暗所選択率を示し, 以下15, 10, 7.5, 5, 1.25luxの条件下でそれぞれ95, 93, 89, 82, 67%の選択率であった。このことから, 無処置動物が暗所選択率の低下を示さない臨界照度は30lux付近であると推定された。2) 1時間の暗順応群では15luxの条件下で98%の選択率を示し, 7.5, 5luxの条件下でそれぞれ95, 92%を示した。従って, 暗順応ラットが暗所選択率の低下を示さない臨界照度は15lux付近と推定され, 明らかな暗順応効果が認められた。3) 眼瞼縫合の暗所選択率は1600luxの条件下で85%であったのが30luxの条件下では52%に低下し, 盲目の理論値にほぼ合致した。4) 正常動物が暗所選択率の低下を示さない臨界照度である30luxの照度下では, 眼瞼縫合群が盲目の理論値にほぼ合致した成績を示したことと正常ラットにおける暗順応効果は, 本装置によるラットの視覚異常検出の精度がより向上する可能性を示唆していた。