Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
マウス乳癌ウイルスの水平伝達について
森本 純司今井 俊介螺良 義彦Jo HILGERS
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 34 巻 2 号 p. 141-146

詳細
抄録

乳癌高発系 (DD/Tbr, SHN, GR) マウスと乳癌低発系BALB/cマウスとを同居, 対照群としてBALB/c同志を同居させ, BALB/cマウスの乳汁, 唾液腺, 乳腺及び雄の二次生殖器中におけるMTV抗原 (MTVp27, MTVgp52) の発現をImmunodiffusion (I.D.) 及びRadioimmunoassay (RIA) にて検索を行なった。
MTVがほとんど検出されないBALB/cマウスにおいて, 乳癌高発系マウスと約8ケ月間同居させた場合, 雌同志の同居では唾液腺に, 雄同志の同居では唾液腺, 精嚢, 前立腺にMTV抗原 (3~50ng/蛋白) が検出された。また, BALB/c雌マウスと乳癌高発系雄マウスとの交配群においては同性同居群に比べてMTV抗原はやや高値 (5~200ng/蛋白) を示した。対照群ではMTV抗原は検出されなかった。また, 乳癌高発系DD/Tbr, SHNマウスの精嚢 (精液) ならびに唾液腺の抽出物を乳癌低発系DDf, BALB/cマウスに接種したところ, MTV抗原発現及び乳癌の発生が認められ, これら臓器の内在性MTVの感染性及び造腫瘍性が確かめられた。

著者関連情報
© 社団法人日本実験動物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top