抄録
我国で広く利用されているF344/DuCrjとSlc: Wistarラットは, 体重曲線や生存率曲線および自然発生腫瘍の発現部位やその発生率が極めて類似していた。そこでF344系とSlc: Wistarとの遺伝的同一性を検討するため, 腫瘍移植および皮膚移植を試みた。F344/DuCrjに誘発した膀胱癌は他のF344系やSlc: Wistarの皮下に増殖し, 他のWistar系には増殖しなかった。皮膚移植においても, F344/DuCrjあるいはF344/NSlcとSlc: Wistarとの間で移植片の生着が認められ, F344/DuCrjあるいはSlc: Wistarと他のWistar系との間では移植片は拒絶された。これらの結果はSlc: WistarラットがF344系由来であることを示している。