1990 年 39 巻 3 号 p. 337-343
雄ラットへのウレタン麻酔はプロラクチン (PRL) 放出物質の検討に多用されている。しかし, 雌のPRL分泌に及ぼすウレタン麻酔の影響についての検討は少ない。本研究では, ラット性周期の発情前期のPRL分泌に及ぼすウレタン麻酔の影響について検討した。ウレタン1.Og/kg及び1.5g/kgを発情前期の13時に投与したところ, 発情前期のPRLサージは完全に抑制された。また, ウレタン1.0g/kgでは翌日の排卵を阻止し得なかったが, ウレタン1.5g/kgは排卵を完全に阻止した。ウレタン1.0g/kgを発情前期の13時に投与して18時に血清及び下垂体のPRL, LH濃度を調べたところ, ウレタン麻酔は下垂体からのPRL, LHの放出を抑制していることが示された。しかし, ウレタン投与群のLH値はペントパルビタール投与群のLH値よりも高値を示した。