抄録
建築物解体時に発生する廃棄物には多量の廃石膏ボード類が含まれており,これらは通常埋立処分される.さらに,毎年建設廃棄物の不法投棄も後を絶たない.これらの現場では,高濃度の硫化水素が発生しており,もう一度原点に返り硫化水素ガスの防止対策を考える必要がある. そこで本研究では,最終処分場から採取した汚泥と石膏ボードの原料である石膏,糊,厚紙を嫌気性培養し,硫酸塩還元菌とこれらの原料との反応により発生する硫化水素ガスの気層中への放出量を解析・評価した.研究の結果,廃石膏ボード類が埋め立てられた際,厚紙が最も硫化水素ガス発生に関与している可能性が高いことが示唆された.