抄録
スンクスの心房ならびに心室筋細胞を免疫組織化学的に, 右側の心耳及び心耳を除く心房筋細胞を透過電子顕微鏡で観察し, さらにこれらの細胞の心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) 顆粒を形態計測により解析した。免疫組織化学的に, 心房にANP陽性細胞がみられ, なかでも右側の心耳が最も強く反応した。一方, 心室筋にはANP陽性細胞は認められなかった。電顕的に心耳を含む心房筋細胞の多くは, ANP顆粒, 良く発達したゴルジ装置及び粗面小胞体を有し, 核は他の多くの哺乳動物と異なり細胞質の辺縁に位置し特徴的であった。ANP顆粒は2種類に分類でき (A, B顆粒) , 核周囲のゴルジ野に最も多くみられ, 筋原線維間にも小数存在した。形態計測的にA, B両顆粒の数は, 心房筋よりも心耳筋細胞が有意に多く, A顆粒がB顆粒に比べ有意に大きかった。