福岡県農林業総合試験場研究報告
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輸出用緑化苗木の線虫防除時期およびかん水手法の検討
村井 かほり 安永 智希井樋 昭宏池田 朱里巣山 拓郎
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2024 年 10 巻 p. 43-49

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抄録
緑化木苗木を輸出する際には根洗いおよび薬剤処理による植物寄生性センチュウの除去(以下,線虫防除)が必要である。サザンカ,イヌツゲ,クロマツ苗木を供試し,植物寄生性センチュウの防除効果が高いと考えられる9月の線虫防除におけるかん水方法およびミストかん水間隔の違いが線虫防除による品質低下に及ぼす影響を調査し,樹種毎に最適なかん水方法を検討した。また,9月の線虫防除により輸出可能な個体が大幅に減少する場合には,植物寄生性センチュウの防除効果に関わらず,その他の時期の線虫防除を検討する必要がある。そこで,4月,8月,10月および12月の線虫防除における品質低下発生状況を調査し,樹種毎に最適な線虫防除時期を検討した。その結果,9月の線虫防除におけるかん水方法は,サザンカおよびイヌツゲでは手かん水とミストかん水のいずれも適しており,クロマツでは手かん水が適していた。植物寄生性センチュウの増殖期である9~10月における線虫防除が最も殺センチュウ効果が高まることを考慮すると,最適な線虫防除時期は,サザンカでは9~10月,イヌツゲでは品質低下が発生しにくい10月,クロマツでは2~3割の品質低下はあるものの9~10月であった。
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