ファルマシア
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シスプラチンによるDNA鎖間架橋が制がん活性発現に関与か
佐藤 卓史
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2014 年 50 巻 2 号 p. 164

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抄録

シスプラチンは,1970年代後半に臨床使用され始めてから今日に至るまで,がんの化学療法の中心を担ってきた.その機序としては,Lippardらが唱えた仮説が広く知られている.この説では,「シスプラチンが遺伝子DNAの同一鎖内の隣接グアニン塩基間で1,2-d(GpG)型の鎖内架橋を形成する.次に,DNA修復系のタンパク質がこの架橋を認識し,DNAと強く結合する.その結果,逆にDNA修復が起こらず,アポトーシスが誘導される.」とするものである.この説は,DNAとシスプラチンの様々な様式の結合のうち,1,2-d(GpG)型の鎖内架橋が60%以上を占めるため,受け入られやすかった側面があり,詳細な機序に関しては現在も不明な点が多い.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Huang J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 91, 10394-10398 (1994).
2) Zhu G. et al., Cancer Res., 73, 4451-4460 (2013).

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© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
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