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インシリコ創薬に向けて:架橋水と電子分極効果の重要性
比多岡 清司
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2014 年 50 巻 5 号 p. 446

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抄録
インシリコ創薬は,従来の実験を主体とした手法に理論・計算化学に基づく分子科学計算を応用した創薬手法である.近年の飛躍的なコンピュータの演算能力の向上も相俟って,従来の試行錯誤的なアプローチをより効率化・迅速化させることが期待されている.例えば,インシリコ技術を活用してタンパク質に対する薬物(リガンド)の結合親和性を評価する場合,ドッキングや古典的な結合自由エネルギー評価法(molecular mechanics/Poisson-Boltzmann surface area:MM/PBSA)などのポストドッキング解析は,実用的かつ簡便な手法であると考えられる.一方,その精度についてはどうであろう.本稿では,ドッキングやMM/PBSAの解析において,リガンドとタンパク質の結合を媒介する水分子(架橋水)や電子分極効果の重要性ならびに,これらが予測精度に与える影響を議論・検討したLiuらの報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Liu J. et al., J. Chem. Inf. Model., 53, 1306-1314 (2013).
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© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
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