ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
FYI(用語解説)
RAN翻訳
余越 萌河原 行郎
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 51 巻 1 号 p. 52_4

詳細
抄録

一般的にタンパク質への翻訳は,開始コドン(ATG)から始まる.しかし,特定の塩基配列の非常に長い繰り返し配列(リピート配列)が存在すると,開始コドンがなくても翻訳が生じることが2010年に実験的に確かめられ,repeat-associated non-ATG(RAN)翻訳と呼ばれるようになった.リピート配列の異常伸張に起因する多くの神経・筋疾患では,変性過程にある細胞に,リピート配列由来のポリペプチドが蓄積しており,発症に重要な役割を果たしていると考えられている.RAN翻訳が生じるのに必要なリピート数やリピート配列のパターン,開始・終止点,従来の翻訳機構との異同などは,現状では不明である.

著者関連情報
© 2015 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top