ファルマシア
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保険薬局で求められるビタミン様サプリメント使用者への情報提供および指導
篠原 久仁子
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2015 年 51 巻 3 号 p. 229-231

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抄録

日本では少子高齢化の進行,認知症やメタボリックシンドローム患者の増加,医師不足,医療費,薬剤費の高騰等が社会問題となっている.こうした背景から限られた医療資源を患者に有効活用するために,ジェネリック医薬品の使用が促進され,病院ではチーム医療の推進,病棟への専任薬剤師の配置,包括医療(diagnosis procedure combination:DPC)などによる薬物治療の標準化,合理化,入院期間の短縮化とともに,慢性疾患患者に対して長期処方せんの発行,がん化学療法や緩和医療などの外来・在宅医療へのシフトなどが図られている.入院治療から外来・在宅医療へシームレスに移行するためには,保険薬局(以下,薬局)は医療機関や介護施設等と地域のチーム連携による共同薬物治療管理を担うなど,その機能をシフトすることが必要である.
薬局では,処方せん調剤,一般用医薬品の販売のほか,血圧計や自己血糖測定機器の相談販売,栄養相談,禁煙相談などを通じた慢性疾患の重症化予防支援,セルフメディケーション支援,在宅での医療材料の提供から訪問指導・介護相談に至るまで,地域住民から様々な健康管理相談を受ける機会が増えている.平成25年6月に閣議決定された日本再興戦略では,一般用医薬品等の適正な使用に関する助言や健康に関する相談・情報提供を行うなど,セルフメディケーションの推進のために薬局と薬剤師の活用を促進することがうたわれており,薬局は地域に密着した健康情報の拠点として大きな役割を発揮することが期待されている.
今回改訂となった薬剤師法では,薬剤師法第25条の2に従来の情報提供に加えて,指導が追加された.すなわち「薬学的知見に基づく指導」が求められ,薬剤師の社会的責任はより一層大きいものとなった.特にビタミンは,処方せん調剤上の医療用医薬品よりも,一般用医薬品,健康食品,サプリメント,あるいは飲食物として利用されている場合が多く,ビタミンの摂取状況については,医療用医薬品よりも一層薬剤師の積極的な確認や指導が必要である.薬局での相談や在宅での訪問指導の際に,ビタミン配合のサプリメントあるいは健康食品の誤った使い方や,薬との相互作用が問題となる場面も生じている.1)
本稿では実際に遭遇した相談事例に基づき,薬局薬剤師に求められる,ビタミン様サプリメント使用者への情報提供および指導について紹介する.

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© 2015 The Pharmaceutical Society of Japan
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