2015 年 51 巻 5 号 p. 460
近年,漢方薬の需要が高まってきており,漢方薬に関する基礎研究によるエビデンスも蓄積されつつある.医療用漢方処方の中でも日本において売上高の高い大建中湯は,術後のイレウス(腸閉塞)に対する改善効果が数多く報告されており,エビデンスが多く蓄積されていることが需要の高い要因の1つである.しかし,このように豊富な科学的根拠が蓄積された漢方処方は,全体から見るとまだ多くはなく,さらに様々な漢方薬に関する科学的知見を集積することで,よりたくさんの漢方処方の信頼度を増し,更に需要が増えると考えられる.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Itoh T. et al., J. Int. Med. Res., 30, 428-432 (2002).
2) Matsumura Y. et al., Mol. Pain., 10 (2014).
3) Andoh T, et al., J. Tradit. Complement Med., 4, 293-297 (2014).