ファルマシア
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51 巻 , 5 号
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目次
  • 2015 年 51 巻 5 号 p. 394-395
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    特集にあたって:医薬品売上げに占める抗体医薬等のバイオ医薬品の割合は,今や圧倒的である.数々の難治疾患に光明を与え,今ではなくてはならない存在となっている.その画期的な効果を目の当たりにした経験のある読者も多いことだろう. 本特集では,医薬に革新をもたらした「バイオ医薬品とは?」から始めて,広がる適応疾患の現状,我が国で開発された優れた抗体改変技術の紹介,次世代技術開発の動向,バイオ医薬品の品質管理およびバイオ後続品についても採り上げた.まだまだ発展の余地のある,魅力的な分野であることが理解いただけると思う.多くの読者にとって本特集が,バイオ医薬品に注目するきっかけとなれば幸いである.
    表紙の説明:治療が難しかった疾患に対する優れた薬効から,注目を集めるバイオ医薬品.ホルモン,サイトカイン,酵素.そして近年,爆発的に開発が進む抗体医薬.今後更に期待される核酸医薬.この上り調子はまだまだ続くだろう.立体構造図は,下から,インシュリン,インターフェロンα2,エリスロポエチン,血液凝固第Ⅷ因子,ヒトIgG1抗体.こんなに複雑な分子が,正確に合成され薬になっているのである.
オピニオン
  • 木村 廣道
    2015 年 51 巻 5 号 p. 393
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    ベンチャーブームが再来しているという.元来,ベンチャー企業は高いリスクの代名詞.大企業や大学,大病院での地道な職業とは異なり,「明日をも知れず,一かく千金を狙うう散臭い集団」というイメージが常につきまとう.しかし,欧米ではバイオベンチャーはまさに花形で,今や新薬市場の主役となったバイオ医薬品では,シーズの主要な供給源として不可欠な存在となっている.それを受けて,日本でもバイオベンチャーは安倍政権の成長戦略の第3の矢の期待を背負っている.
    しかし,日本ではベンチャー企業がうまく育たないと言われて久しい.「大学発ベンチャー1,000社目標」の政府の号令下,2000年代に設立されたバイオベンチャーのてん末は涙なくして語れない.その後,ベンチャー企業に対する環境・基盤はだいぶ整備されてきている.それでも,先頭を走るアメリカとの差は大きく,一番の違いはのりしろを持つ人材の層の厚みである.
    このことは,「経営」という職業者の供給の仕方に最も顕著に現れている.日本では社会人として30年以上の長い経験を積んだ上でやっと到達するものと考える.しかし多くの欧米や新興国では,経営者は従業員とは全く別な職業であり,ビジネススクールで量産される.そこでは多くの学生は理系であり,博士や医師も大勢いて多様なバックグラウンドを持つ学生が一緒に勉強するところに大きな価値がある.前例に捕らわれない,正に破壊的イノベーションの推進者である.
    「異なるアイデアが出会い交わると新しいアイデアが生まれる」とはTED白熱教室でのマット・リドリー氏の言葉だ.異なる専門の研究者・学生が集い想定外の驚き・刺激から新たな研究成果が生まれる.シーズの発祥も,実用化に至る道も,バイオ医薬は異なるアイデアが交わって生まれた薬である.アイデアの複合化の結果,低分子や同位体で修飾された抗体医薬や核酸医薬など多様なシーズが開発されている.さらには,抗体を部品として利用した高次構造医薬体(ナノマシン)が出てきて異次元の進化が起きている.この研究を進める中心の1つである東京大学では,医工薬の連携研究が盛んで,合言葉は「蛸壺からの脱出」である.医工薬の学生を対象としたマネジメント教育も最近始まり,異なる専門を束ねて新しい価値・イノベーションを生み出す技を磨いている.
    私は兼業するベンチャーキャピタリストとして,ベンチャー企業を設立し育成してきているが,日本は起業のネタがあふれている.特に大学では研究成果の知財化,ベンチャー設立は盛んで,資金も潤沢だ.困るのはベンチャー企業の社長候補者が少ないこと.バイオ研究が分かり一流の経営能力がある若手がほぼ皆無な中でも,ヒトには妥協しなかったことで60%の投資案件で利益を出して回収し,シリコンバレー並みの高い打率を出せた.人材に対する問題意識から,私はこの10余年,薬学生を対象に経営者教育をしてきた.ようやくバイオベンチャー人材の供給に貢献できそうだ.
    羽田空港の多摩川対岸に位置する川崎市殿町地区に官民の医療系研究所が集積しつつあり,この4月からナノ医療を中心としたオープンイノベーションセンターが発足している.この地区では,複数の独立した研究所が互いに連携し,新しい価値を生み出す計画だ.若手医療系経営者養成所の併設も視野にあり,バイオ・医療系ベンチャー企業を量産する壮大な社会実験が着々と進んでいる.アイデアが出会い交わり,薬学・医療系人材が経営者として活躍する土俵の拡大に注目して欲しい.
Editor's Eye
セミナー
  • 石井 明子, 川崎 ナナ
    2015 年 51 巻 5 号 p. 403-407
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    バイオテクノロジー応用医薬品(バイオ医薬品)とは,遺伝子組換え技術や細胞培養技術等のバイオテクノロジーを応用して製造される医薬品であり,組換えタンパク質医薬品および細胞培養医薬品を指す.バイオテクノロジーの応用により,生理活性タンパク質を人工的に製造することが可能となり,今日では,糖尿病,がん,自己免疫疾患等の様々な疾病治療に,バイオ医薬品が不可欠な存在となっている.本稿では,バイオ医薬品に関する総論として,代表的なバイオ医薬品,一般的名称および開発動向と展望について概説する.
セミナー
  • 田中 敏郎
    2015 年 51 巻 5 号 p. 408-413
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    ヒト化抗interleukin-6(IL-6)受容体抗体トシリズマブ(商品名:アクテムラ)は,我が国初の抗体医薬として,2005年にキャッスルマン病の治療薬として認可され,2008年には関節リウマチ,全身型および多関節型の若年性特発性関節炎に対しても保険収載された.これらの疾患に対するトシリズマブの効果は劇的であり,新たな治療の時代を迎えたと言われる.IL-6は多彩な作用を有し,様々な疾患の発症や進展に関与するサイトカインである.そのためトシリズマブは,上記以外の疾患に対しても画期的な治療薬となる可能性があり,世界中で適応拡大に向けた臨床試験が進められている.また,新たなIL-6阻害剤も開発中にある.本稿では,その可能性について紹介したい.
セミナー
  • 金子 悦士, 小池 正道, 佐藤 光男
    2015 年 51 巻 5 号 p. 414-418
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    医薬品の開発者にとって,タンパク医薬品の糖鎖構造の制御とは,できれば触れたくないテーマの1つであった.それは,タンパク質を修飾している糖鎖構造というものが実に多様で,その構造を医薬品として1つの規格の中に封じ込めるには,サイエンスのレベルが技術的に未熟であったためである.きちんと糖鎖構造を制御する技術がない以上,その多様性を問題にしないで医薬開発を進めることができれば,それが医薬品を世に送り出す近道である.この考え方は,医薬品の糖鎖構造がその薬効に大きな影響を与えない限り,何ら問題とはならない.医薬製造者は,当たり前の話ではあるが,製造ロットごとに同一規格の製品を医療の現場に提供しなくてはならない.抗体医薬の開発に携わるようになり,抗体医薬の薬効が特定の糖鎖構造に大きく依存することに気が付いた我々は,糖鎖工学という新たな技術の最先端で挑戦し続けなくてはならなくなった.この努力は,2012年3月の新規高機能抗体ポテリジオの発売につながっている.本稿では,抗体医薬の糖鎖制御技術ポテリジェントの開発に携わったものとして,その経緯を振り返ってみたい.
セミナー
  • 坂中 千恵
    2015 年 51 巻 5 号 p. 419-423
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    がんに対する最初の抗体医薬品(リツキシマブ,rituximab,抗CD20抗体)が米国で1997年に承認されてから20年近くが過ぎ,多くの抗体医薬品が開発されてきた.抗原に高い特異性を持って結合するという抗体の特性により,抗体医薬は分子標的薬の1つとしてがん薬物治療において重要な役割を担っている.また抗体医薬開発は,キメラ化,ヒト化といった抗体分子の改変技術をはじめとしたバイオテクノロジーの進歩により加速してきたといえる.細胞障害性低分子化合物と抗体分子を結合させた抗体薬物複合体(antibody-drug conjugates:ADC)は武装抗体(armed antibody)とも呼ばれ,有機化学とバイオロジーが融合した新しいがん抗体医薬として近年注目されている.本稿では,ADCの概要とその創薬における問題点や,現在の開発状況を中心に紹介する.
    がん特異的に細胞障害性薬剤を到達させる,という「magic bullet/魔法の弾丸」のコンセプトは20世紀初めの化学療法の父,ポール・エーリッヒに始まるとされている.高い抗原特異性を持つ抗体に細胞障害性薬剤を結合させたADCは,1970年頃から開発が進められてはいたが,単純なコンセプトでありつつも多くの検討課題があることが明らかとなり,20世紀にブレークスルーを起こすまでには至らなかった.しかし,2013年になってトラスツズマブ エムタンシン(trastuzumab emtansine,商品名:カドサイラ)が,2014年にブレンツキシマブベドチン(brentuximab vedotin,商品名:アドセトリス)が我が国でも承認され,ADCが再び注目されてきている.
最前線
  • 前田 敦彦, 舩木 美歩, 井川 智之
    2015 年 51 巻 5 号 p. 424-428
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    モノクローナル抗体は,その医薬品としての優れた特性から,2013年5月末現在,日欧米で承認された抗体医薬品は39品目に達し,医薬品市場の今後の成長ドライバーとして期待されている.モノクローナル抗体の開発競争は激化しており,このような状況下で価値の高い抗体医薬品を創出して医療の発展に貢献するためには,有用な抗体改変技術を継続的に開発する必要がある.本稿では,中外製薬において開発された抗体改変技術であるリサイクリング抗体,スイーピング抗体,バイスペシフィック抗体を紹介するとともに,これらの技術の医薬品への応用例を紹介する.
最前線
  • 松田 彰
    2015 年 51 巻 5 号 p. 429-433
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    低分子医薬や抗体を含むタンパク質医薬の次に,第3の医薬品として期待されている核酸医薬は,克服すべき障壁が多く,遅々として進展していないように見える.しかし,2013年初頭に米国で家族性高コレステロール血症治療薬としてアンチセンス分子・ミポメルセンナトリウム(キナムロ)がFDAから承認された.また,難病であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)治療薬が申請中・第3相臨床試験まで進んでいるなど着実な進展を見せている.
    本稿では,核酸医薬が臨床使用されるために克服すべき障壁と,その対策の現状および将来展望について述べる.
セミナー
  • 本田 二葉
    2015 年 51 巻 5 号 p. 434-438
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    バイオ医薬品とは,通常,血液製剤や尿および血液由来成分のようにヒトや動物から抽出したもの,ならびに細胞培養医薬品,遺伝子組換え医薬品および感染症ワクチンのように生物の機能を利用して製造した医薬品を指す.具体的には,生体に不足するインスリン等のホルモンや酵素,細胞表面マーカー等を標的とする抗体,ウイルスを培養・精製・不活化処理して得られるワクチン等,多様な種類が存在する.
    我が国で過去5年間に承認された新有効成分含有医薬品(バイオ後続品を含む)のうちバイオ医薬品は1/3~1/4を占めるようになってきており(表1),2013年の世界の医薬品売上では上位10品目のうち7つをバイオ医薬品が占め,抗腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)α抗体類3種と抗CD20抗体がトップ4となっている.
    医薬品の製造販売に当たっては厚生労働大臣より製造販売承認を取得することが必要であり,医薬品医療機器総合機構(PMDA)では,厚生労働省からの委託を受けて,製造販売承認申請に関する科学的な審査および調査を行っている.本稿では,バイオ医薬品の品質に関する審査を中心に,バイオ医薬品の審査の概略および最近開発が活発化しているバイオ後続品について述べる.
話題
  • 大政 健史
    2015 年 51 巻 5 号 p. 439-441
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    「次世代バイオ医薬品製造技術研究組合」は,経済産業省の技術研究組合制度を利用した,次世代のバイオ医薬品製造に関わる様々な技術開発を目的として,2013年9月に設立した組織である.技術研究組合制度とは,企業が組合員となり法人格を持つ相互扶助組織(非営利共益法人)を設立することで,同じ目的のための共同研究を行う制度である.企業以外に,大学や独立行政法人,地方公共団体,財団も参加可能であり,法人格を持つため国の様々なプロジェクトを受けることができる.また,共通の知財協定をもって運営されるため,産官学の共同研究の場としても活用が期待されている.
    本技術研究組合は,バイオ医薬品の生産技術開発を主な目的としている.バイオ医薬品は,その高機能性と薬効の高さに注目されがちであるが,生産の難しさにも特徴がある.バイオ医薬品の製造プロセスの多くは,まさに生体そのものである生物(微生物,動物細胞等)を利用する手段が用いられている.言い換えれば,これらを生産する手段は「生きた生物を用いる」生物反応であるため,生物そのものを人工的に操作する必要がある.逆に言えば,生物そのものの不確定性や,生産物が持つ本質的な不均一性などを解決していくことが必要な技術である.複雑な分子も生産可能であるが,対象とする生物が複雑であればあるほど,その生物自身を自在に操って生産させる高度な技術が求められる.
    バイオ医薬品とは,現在,バイオテクノロジーを応用した医薬品全般を指す用語として用いられ,各種サイトカイン,抗体などのようなタンパク質由来医薬品,ワクチンのようなウイルス粒子そのもの等から成る製品,さらには再生医療に用いる細胞由来医薬品まで,生体由来分子や生体そのものが挙げられている.また,次世代のバイオ医薬品の中に核酸医薬やペプチド医薬,遺伝子治療用医薬品が分類される場合もある.
    本技術研究組合では,動物細胞株を用いた抗体医薬生産を研究開発の対象としている.抗体医薬品は,現在の世界の製薬産業の成長エンジンとして注目され,今後の継続的な発展も期待されている.これらの抗体医薬品は,主に動物細胞株を用いて大量生産されており,複雑な真核生物をいかに操作するかが大きなポイントとなっている.
    動物細胞の大量培養によるバイオ医薬品生産の歴史は古く,1970年代にワクチンの生産において実用化された.実用化当初は,従来の微生物を対象とした大型かく拌培養槽の技術を応用する形で,細胞の大量培養法が開発され,1980年代になると,遺伝子組換え技術と細胞培養を組み合わせることで,その利用が飛躍的に拡大した.
    動物細胞を宿主として生産されるバイオ医薬品の最初の成功例として,エリスロポエチン(erythropoietin:EPO)がよく知られている.EPOは糖鎖が複雑に結合した糖タンパク質で,高度な翻訳後修飾能を必要とし,大腸菌や酵母の生物や下等真核生物ではうまく生産できない.そのため,生産宿主としてチャイニーズハムスター卵巣(chinese hamster ovary:CHO)細胞に代表される動物細胞が用いられるようになった.現在販売されているバイオ医薬品の宿主動物細胞の60%をCHO細胞が占め,多数の抗体医薬シーズの開発ならびに抗体医薬の製造プロセスに汎用されている.CHO細胞を用いた生産では,培地中にg/Lの濃度(研究室レベルでは10g/Lも達成可能)で抗体を分泌生産することが可能であり,培養だけを取り上げれば,g当たり数ドルでの生産が可能となっている.一方,同じ抗体遺伝子を同じCHO細胞に導入しても,得られる細胞の性質は均一ではなく,タンパク質自身の特性,株化細胞の多様性,翻訳後修飾,特に糖鎖の多様性等が重なる結果,生産プロセスや得られる生産物にも多様性が存在する.すなわち,これらの多様性(ヘテロジェネイティ)を,タンパク質,細胞個々,さらに各プロセスにおいて解析・操作・制御する技術が,バイオ医薬品生産において重要なポイントとなる.
セミナー
  • 朝倉 俊成
    2015 年 51 巻 5 号 p. 442-446
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    糖尿病の治療は,健康な人と変わらないQOLの維持と,健康な人と変わらない寿命を確保することを目標とし,そのためには様々な合併症の発症・進展を阻止することが重要になる.すなわち,医療においては血糖,体重,血圧,血清脂質の良好なコントロール状態を維持するために食事療法,運動療法,そして薬物療法が導入される.薬物療法では,病態に合わせてインスリン分泌促進系,インスリン抵抗性改善系,そして糖吸収・排泄調節系の経口血糖降下薬や,インスリン製剤,GLP-1受容体作動薬の注射剤を用いる.薬物療法は,いずれも患者の日々の食事や運動(生活動作)と密接に関係していることから,患者自身で適正な服薬行動(使用)や薬学的な管理を実践・継続することが基本となる.インスリン製剤やGLP-1受容体作動薬は,自己注射製剤として多くの患者に導入されている.いずれも劇薬であり,ハイリスク薬として薬剤師には「患者に対する処方内容の確認」「服用患者のアドヒアランスの確認」「副作用モニタリングおよび重篤な副作用発生時の対処方法の教育」「効果の確認」「一般用医薬品やサプリメント等を含め,併用薬および食事との相互作用の確認」「注射手技の確認,注射針の取り扱い方法についての指導」などの管理が求められており,糖尿病治療薬注入デバイス(以下,注入デバイス)についても十分熟知し,患者への指導も含めた薬学的管理が求められている.
    以前,本誌にて糖尿病臨床における薬剤師の関わりについて紹介したが,本報では注入デバイスを安全かつ有効に使用する上で重要な管理ポイントについて取り上げる.
FYI(用語解説)
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2015 年 51 巻 5 号 p. 449-451
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    このコラムでは既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,51巻3号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
家庭薬物語
くすりの博物館をゆく
  • 池田 幸弘
    2015 年 51 巻 5 号 p. 456-457
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    東海道線小田原駅に降り立つと,駅舎に掲げられた大きな小田原提灯の出迎えを受けた.小田原は天下の巨城で名高いが,江戸時代,品川から数えて9番目の東海道の宿場町として栄えた土地でもある.目指す済生堂薬局は旧街道(現在の国道1号線)に面した中宿町にあり,当時は脇本陣や10軒を超える旅籠があったという.駅の喧騒を抜け,落ち着いた佇まいの堀端を春風にそよぐ柳を眺めながら歩き,20分ほどで目指す済生堂薬局に到着した.
トピックス
  • 中原 健二
    2015 年 51 巻 5 号 p. 458
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    糖鎖は多くの生命現象に深く関わっており,機能解明の観点からも効率的な合成法の開発が求められている.糖鎖合成における課題は,立体選択的なグリコシル化反応,すなわちアノマー位の立体化学を制御することにある.そのため,アノマー位の立体制御に関する研究は,古くより盛んに行われており,活性な脱離基を用いる方法,隣接基関与を利用する方法などが一般的である.しかし,これら従来法では,活性基へと変換する工程が必要であること,立体選択性は既に存在する置換基の影響を受けるといった課題が残されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Satoh H., Manabe S., Chem. Soc. Rev., 42, 4297-4309 (2013).
    2) Lim W. et al., J. Am. Chem. Soc., 136, 13618-13621 (2014).
  • 勝田 陽介
    2015 年 51 巻 5 号 p. 459
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    2013年,クリスパー・キャス9(clustered regularly interspaced short palindromic repeats/CRISPR-associated 9:CRISPR/Cas9)システムというゲノム編集を迅速かつ簡便に行える画期的な技術が報告された.このシステムは,目的のDNA配列と相同的な短いガイドRNAを設計するだけで,容易に目的遺伝子のノックイン,ノックアウト,さらには点変異の導入もでき,多くの研究者の注目を浴びている.本稿では,この CRISPR/Cas9システムとトランスクリプトーム解析を組み合わせて薬物標的を同定する手法「DrugTargetSeqR」について紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Mali P. et al., Science, 339, 823-826 (2013).
    2) Kasap, C. et al., Nat. Chem. Biol., 10, 626-628 (2014).
    3) Sarah W. et al., Nat. Chem. Biol., 8, 235-237 (2012).
  • 岩岡 恵実子
    2015 年 51 巻 5 号 p. 460
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    近年,漢方薬の需要が高まってきており,漢方薬に関する基礎研究によるエビデンスも蓄積されつつある.医療用漢方処方の中でも日本において売上高の高い大建中湯は,術後のイレウス(腸閉塞)に対する改善効果が数多く報告されており,エビデンスが多く蓄積されていることが需要の高い要因の1つである.しかし,このように豊富な科学的根拠が蓄積された漢方処方は,全体から見るとまだ多くはなく,さらに様々な漢方薬に関する科学的知見を集積することで,よりたくさんの漢方処方の信頼度を増し,更に需要が増えると考えられる.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Itoh T. et al., J. Int. Med. Res., 30, 428-432 (2002).
    2) Matsumura Y. et al., Mol. Pain., 10 (2014).
    3) Andoh T, et al., J. Tradit. Complement Med., 4, 293-297 (2014).
  • 酒井 信夫
    2015 年 51 巻 5 号 p. 461
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    2013年度「学校生活における健康管理に関する調査」において,我が国の小中高生の食物アレルギーの罹患率は4.5%と発表された.9年前の同調査結果が2.6%であったことを踏まえると,食物アレルギーの罹患率は急激な増加の一途をたどっていることが容易に伺える.食物アレルギー患者は,原因アレルゲンを一切摂取しない除去食を続け,寛解を期待することを強いられる.それゆえに,食品に微量に含まれるアレルゲンタンパク質の高感度かつ特異的な検出法は必要不可欠である.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) 公益財団法人日本学校保健会, 平成25年度学校生活における健康管理に関する調査事業報告書, 2014.
    2) Cunsolo V. et al., J. Mass Spectrom., 49, 768-784 (2014).
    3) Monaci L. et al., J. Chromatogr. A, 1358, 136-144 (2014).
  • 波多野 亮
    2015 年 51 巻 5 号 p. 462
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    Prostaglandin(PG)は様々な生理作用を有する脂質由来の生理活性物質であり,オータコイドとして近傍の細胞へのシグナル伝達を媒介する重要な役割を担う.PGはcyclooxygenase(COX)を介して細胞内で合成され,分泌された後に標的細胞に発現する受容体に作用する事で,様々な生理機能を発揮する事が明らかにされてきた.またPGの制御機構として,PGの代謝に関する研究も近年進められているが,オータコイドであるPGの分泌機構については未だ不明な部分が多い.PGの分泌には,様々な薬物や生体異物を輸送するABC(ATP -binding cassette)輸送体やSLC(solute carrier)輸送体の関与が想定されるが,中でもABC輸送体に属するABCC4(MRP4)はPGの分泌過程にも関わることが報告されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Reid G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 100, 9244-9249 (2003).
    2) Lin Z. P. et al., Mol. Pharmacol., 73, 243-251 (2008).
    3) Hara Y. et al., J. Clin. Invest., 121, 2888-2897 (2011).
    4) Jin D. et al., Nat. Cell. Biol., 16, 841-851 (2014).
  • 三森 盛亮
    2015 年 51 巻 5 号 p. 463
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    末梢神経系では,軸索の障害の程度により損傷部位の近位側の軸索末端から多数の再生線維が発芽し,標的に向かい伸長を始める.1つの線維が正しい標的にシナプス結合すると残りの線維は消失し,障害前と全く同じ神経結合ができることが知られている.中枢神経系ではこの現象が認められないために,神経細胞の再生の可能性は長い間否定的に見なされていた.そのために約半世紀もの間,研究の対象となっていなかった.しかしながら,生命科学の発展に伴い,近年では脊椎損傷患者の機能回復や視覚障害者の治療を目的として中枢神経系の再生の研究が盛んになりつつある.神経幹細胞を脳の障害部位に移植するなど,失われた神経回路を丸ごと再生させる試みも行われている.また,成体のほ乳動物で僅かではあるが,海馬歯状回や側脳室下帯において神経細胞が新たに発生することも明らかになっており,これらの機能についても研究が盛んに行われている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Yingbo H. et al., Nat. Neurosci., 17, 943-952 (2014).
    2) Luo J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. Soc., 103, 18326-18331 (2006).
    3) Javier P. et al., J. Neurosci., 34, 7917-7930 (2014).
  • 林 直樹
    2015 年 51 巻 5 号 p. 464
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    抗菌薬に対する耐性菌の出現と蔓延は世界的に問題となっている.2014年4月に世界保健機関は,抗菌薬耐性菌に関する現状をまとめた「Antimicrobial resistance:global report on surveillance2014」を報告し,世界的な抗菌薬耐性の問題に対する警鐘を鳴らしている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Fridman O. et al., Nature, 513, 418-421 (2014).
    2) Lewis K. et al., Nat. Rev. Drug Discov., 12, 371-387 (2013).
    3) Balaban N. Q. et al., Science, 305, 1622-1625 (2004).
    4) Gilbert P. et al., Antimicrob. Agents Chemother., 34, 1865-1868 (1990).
  • 丹羽 隆
    2015 年 51 巻 5 号 p. 465
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    Staphylococcus aureusは各種感染症の起因菌として検出される代表的なグラム陽性球菌であり,メチシリンやバンコマイシン耐性が報告されているだけでなく,リネゾリドに耐性を示す場合もある.このため,メチシリン耐性ブドウ球菌(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus:MRSA)に対する新規治療薬の開発が急務である.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) He W. et al., J. Antimicrob. Chemother., 69, 3181-3189 (2014).
    2) Moore C. L. et al., Clin. Infect. Dis., 54, 51-58 (2012).
    3) Smith J. R. et al., Curr. Infect. Dis. Rep., 16, 429 (2014).
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ずいそう
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薬学会アップトゥデイト
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