ファルマシア
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フェノールからアニリンへの直接的変換反応
南部 寿則
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2016 年 52 巻 7 号 p. 692

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抄録

アニリン類は,医薬品や有機EL等の原料となる化合物群であるため,その合成法の開発は重要な研究課題である.これまでに,その優れた合成法として,Buchwald-HartwigカップリングやUllmannタイプのアミノ化が開発された.これらの反応では,アミンとのカップリング剤としてハロゲン化アリールや活性化したフェノール誘導体(スルホン酸エステルや炭酸エステル等)を用いるが,事前にこれらの調製が必要であり,さらに反応後にも脱離基由来の廃棄物が問題となる.そのため,安価で入手容易なフェノール自体をカップリング反応に使用できれば効率的であるが,その問題点として,①ヒドロキシ基の反応性の高さ,②p軌道―π結合間の共役によるC―O結合切断の難しさ,が挙げられる.本稿では,Liらにより報告されたPd/C触媒によるフェノールとアミンとの直接的カップリング反応について紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Chen Z. et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 54, 14487-14491 (2015).
2) Chen Z. et al., Chem. Sci., 6, 4174-4178 (2015).

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© 2016 The Pharmaceutical Society of Japan
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