ファルマシア
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プルプロガリンの生成機構に基づいて提唱されたエピコラクトンの生成機構
松尾 洋介
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2016 年 52 巻 7 号 p. 694

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抄録

エピコラクトン(1)は,サトウキビやカカオの木に共生するEpicoccum属の菌が産生する化合物であり,抗菌活性を持つことが知られている. エピコラクトンは複雑な炭素骨格を持ち,5つの不斉炭素を有するが,ラセミ体として単離された.一般的に,植物や微生物が作り出す天然有機化合物の多くは生合成酵素によって合成されることから,キラル化合物の場合は単一のエナンチオマーとして単離されることが多い.一方,複数の不斉炭素を持つ化合物が天然よりラセミ体として得られる場合,アキラル化合物からの非酵素的なカスケード反応を経て生成していると推測される.今回,Ellerbrockらはカスケード反応を鍵反応とするエピコラクトン(1)の生合成機構を推定するとともに,それに基づく全合成を達成した.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) da Silva Araujo F. D. et al., Eur. J. Org. Chem., 5225-5230 (2012).
2) Talontsi M. F. et al., Eur. J. Org. Chem., 3174-3180 (2013).
3) Ellerbrock P. et al., Nat. Chem., 7, 879-882 (2015).
4) Bentley R., Nat. Prod. Rep., 25, 118-138 (2008).

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© 2016 The Pharmaceutical Society of Japan
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