ファルマシア
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Pitx2は抗酸化応答の活性化によって傷害後の心臓修復を促進する
市村 敦彦
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2017 年 53 巻 1 号 p. 64

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抄録

ほ乳類の心筋が再生能力を有するのは新生児期の限られた期間だけである.そのため,成体期に心筋梗塞などで損傷を受けた場合,心筋細胞はそれを修復するために十分な自己複製を行えず,心筋の機能低下や心不全が誘導される.新生児期における心筋再生能力を成体期に再度活性化させることは,心筋機能の維持や回復に効果的であることから,この心臓修復を促進する分子機構を理解することは重要である.従来,臓器や器官の大きさの制御を担うHippo経路が心筋再生に重要であり,Hippo経路欠損マウス(心筋細胞特異的Salv欠損マウス)においては,成熟個体でも心筋再生が発生期と同様に起こることが報告されていた.しかし,心筋再生の制御因子や分子機構の全容は依然として不明であった.本稿では,Hippo経路欠損心再生マウスモデルを用いて,心筋再生の鍵分子を同定したTaoらの研究成果を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Porrello E. R. et al., Science, 331, 1078-1080 (2011).
2) Heallen T. et al., Development, 140, 4683-4690 (2013).
3) Tao G. et al., Nature, 534, 119-123 (2016).

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© 2017 The Pharmaceutical Society of Japan
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