抄録
表面プラズモン共鳴(SPR)センサーは,タンパク質,DNA,RNAなどの生体高分子間の相互作用を解析するツールとして利用されている.また,イムノアッセイとしてSPRセンサーを利用する報告例も多い.この場合,酵素や蛍光色素で標識された2次抗体を用いずに,アナライトを添加するのみの簡便な手順で計測できる利点がある.しかしながら,SPRセンサーでは物理現象である共鳴角の変化をシグナルとして観測するため,装置自体を高感度化するにはノイズを低減させることしかできず,限界がある.そのため,SPRセンサーをイムノアッセイやバイオセンサーに応用する場合,計測法の高感度化にはアナライトのシグナル増幅システムをセンサー界面で化学的にデザインすることが要求され,ナノ粒子やリポソーム等が,このシステムをデザインする上で注目されてきた.本稿では,ホールセルと金ナノ粒子を用いた新しいシグナル増幅システムにより,ロイシンをSPRで計測する分析方法を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Gao Y. et al., Biosens. Bioelectron., 81, 207-213 (2016).
2) Woo M. A. et al., Anal. Chem., 88, 2871-2876 (2016).