ファルマシア
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速度論的に制御された“E–選択的な”オレフィンメタセシス
鍬野 哲
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2017 年 53 巻 3 号 p. 260

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抄録

オレフィンメタセシスは,二種のオレフィンから結合の組み替えが起こり,新たなオレフィンが生成する反応である.一般的に可逆反応であるため,熱力学的に安定な異性体が優先して得られる.1, 2-二置換オレフィンの多くはE体のほうが熱力学的に安定であるが,ハロゲン化アルケニル化合物の場合,Z体のほうが熱力学的に安定である(図1-①).そのため,既存のメタセシス反応によるE-選択的な合成は困難であった.今回,Hoveydaらによって嵩高いアリールオキシ配位子を持つモリブデン錯体触媒を用いて,速度論的制御に基づいたE-選択的なオレフィンメタセシス反応が報告されたので紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Hoveyda A. H., Zhugralin A. R., Nature, 450, 243-251(2007).
2) Wiberg K. B. et al., J. Chem. Theory Comput., 5, 1033-1037(2009).
3) Nguyen T. T. et al., Science, 352, 569-575(2016).

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© 2017 The Pharmaceutical Society of Japan
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