2017 年 53 巻 5 号 p. 466
不活性なC(sp3)‒H結合の官能基化は,近年最も注目される反応の1つであるが,複雑な分子の中で目的とするC‒H結合のみを選択的に官能基化することは困難を極める.今回,KnowlesらおよびRovisらの両グループはほぼ同時期に,アミドを配向基として,遠隔位に位置するC(sp3)‒H結合の位置選択的官能基化反応の開発に成功したので,本稿にて併せて紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Choi G. J. et al., Nature, 539, 268–271(2016).
2) Chu J. C. K., Rovis T., Nature, 539, 272–275(2016).
3) Meyer T. J., Chem. Rev., 112, 4016–4093(2012).