抄録
抗悪性腫瘍薬を使用した従来のがん治療の問題点は,がん細胞と正常細胞を十分に識別できないことであった. それゆえ,効率的にがん細胞へ薬物を送達させるためには,細胞内取り込み向上のための標的化設計や,がん細胞と隣接する正常細胞への毒性を軽減させるといったアプローチが行われてきた. 近年,ナノテクノロジーは,病気の早期診断や生体イメージング,薬物送達など様々な分野において研究が進んでおり,多くの功績をもたらしている.本稿では,ナノテクノロジーを基に,大腸がんを対象として,薬物治療,遺伝子治療および光線療法の3つの治療を組み合わせたハイドロゲルパッチを開発したCondeらの研究成果を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Minelli C. et al., Small, 6, 2336–2357(2010).
2) Liu Y. et al., Int. J. Cancer, 120, 2527–2537(2007).
3) Conde J. et al., Nature Mater., 15, 1128–1138(2016).