2018 年 54 巻 6 号 p. 541-543
薬剤師による薬物乱用防止といえば,教育現場における薬物乱用防止教育を連想する人が多いだろう.本稿では人が薬物を使う心理社会的背景を明らかにした上で,薬物乱用防止教育を「ダメ.ゼッタイ.」で終わらせてしまうことの危険性や,薬剤師による予防教育について論じた.一方,医療現場においては,睡眠薬等の処方薬(主としてベンゾジアゼピン受容体作動薬)を不適正に使用し,薬物依存に至る症例が増加している.薬剤師は臨床業務を通じて,処方薬乱用に気づきやすい立場にある.そこで後半では,処方薬乱用に対するゲートキーパーとしての薬剤師の役割についても論じた.