2019 年 55 巻 1 号 p. 60-61
鳴子温泉を訪ねる.ここは400もの源泉数を有し,日本国内で確認されている泉質11種のうち9種類が湧出しているという.837(承和4)年に鳥谷ヶ森(鳴子火山)が噴火した際に,熱湯が噴出したことが起源といわれていることから,ゆうに千年を超える歴史がある.何かの企画で,温泉番付の東の横綱と認定されたというのも頷ける.源義経が平泉へ落ちのびる途中に鳴子に立ち寄った伝説や,松尾芭蕉が「奥の細道」で鳴子から尿前(しとまえ)の関所を経る街道を通ったことでも知られており,義経や芭蕉にちなんだ名所や逸話なども多く遺されている.