ファルマシア
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クライオ電子顕微鏡で見えてきたグルタミン酸受容体活性化のメカニズム
森本 和志
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キーワード: mGluR, CryoEM, GPCR, dimer
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2019 年 55 巻 10 号 p. 980

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抄録

Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は細胞間情報伝達を司る重要な創薬ターゲットであるが,そのうちclass Cに分類されるサブファミリーは細胞外に大きなリガンド結合ドメイン(venus flytrap(VFT)domain)を有することを特徴とし,グルタミン酸・GABA・甘味受容体などが含まれる.これまでVFTドメインや7回膜貫通(7TM)ドメインのX線結晶構造についてはいくつか報告されてきたが,リガンド結合によるVFTドメインの構造変化がどのようにして7TMドメインの活性化につながるのかは不明であった.
本稿では,近年発展の目覚ましい電子顕微鏡単粒子解析(CryoEM)で明らかになった代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)5の全長構造,およびリガンド結合に伴う構造変化に関する報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Koehl A. et al., Nature, 566, 79-84(2019).
2) Doumazane E. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 110, E1416-1425(2013).
3) Xue L. et al., Nat. Chem. Biol., 11, 134-140(2015).

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© 2019 The Pharmaceutical Society of Japan
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