ファルマシア
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最新号
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目次
  • 2019 年 55 巻 10 号 p. 910-911
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー
    表紙の説明:秋の涼しさを感じる頃,野山を散策すると,キク科の花が目に付く.この花を目にした読者はあまりいないかもしれないが,生薬名の白朮と聞けば,「ああ,聞いたことがある」と納得するだろう.花はピンク色と白色の2色があり,薬用としては乾燥させた根茎が用いられる.オケラは,古くは万葉集で「わが背子を あどかも云はむ 武蔵野の うけらが花の時なきものを」(作者不明,うけらはオケラの意味)と詠まれ,日本人の生活・文化にも大きくかかわってきた.詳しくは,電子付録でお楽しみを.
オピニオン
Editor's Eye
最前線
最前線
  • 佐竹 炎, 白石 慧
    2019 年 55 巻 10 号 p. 924-928
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    ペプチドのGPCRは主要な創薬ターゲットの一つであるが、多くのGPCRはリガンドが決まっていない「オーファン受容体」である。新規のペプチドのGPCRは既知のものの配列や立体構造から予測ができないことがほとんどであるため、地道な逆薬理学的な手法やハイスループット評価系で決定を目指すことになるが、その試みの多くは「労多くして実りなし」という結果に終わることがしばしばである。最近、機械学習法に基づくペプチド‐GPCRペアの予測システムを開発し、哺乳類のモデル生物の一種であるホヤの新規ペプチド-GPCRを41%という高確率で実験的に実証した(Shiraishi et al. PNAS, 2019)。本予測システムは、ヒトをはじめとするあらゆる生物の新規ペプチド-受容体の決定やペプチド性医薬品候補の探索にも極めて有効だと考えられる。
最前線
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  • 方 凌艶, 國屋 敬章
    2019 年 55 巻 10 号 p. 949-953
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    ニューロンおよびグリア細胞を生み出す前駆細胞を神経幹細胞と呼ぶ.神経幹細胞は胎生中期に増殖・分化してニューロン新生を行い,胎生後期までに脳のほとんどのニューロンを生み終え,その後グリア細胞を生み出し始める.成体期の脳にも神経幹細胞が存在し,新たにニューロンを生み出している.胎生期の神経幹細胞が盛んに分裂するのに対して,成体期の神経幹細胞は稀にしか分裂しない.本稿では,この「分裂頻度の違い」に着目して両者の関係を解き明かした,最新の研究を紹介する.
最前線
ずいそう
FYI(用語解説)
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2019 年 55 巻 10 号 p. 965-969
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,55巻6号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
新薬のプロフィル
新薬のプロフィル
前キャリアが今に生きること
トピックス
  • 溝口 玄樹
    2019 年 55 巻 10 号 p. 976
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    DNAなどの生体高分子と共有結合を形成する天然物には有用な生理活性を示すものが多く,医薬品のシード化合物となることが期待される.そのためには,作用機序の解明が望まれるが,複雑な構造ゆえに生体内での真の活性種や挙動を明らかにすることは難しい.
    土壌のカビより見いだされたテルペノイドであるmyrocin C(1)は抗腫瘍活性を示す.シクロプロパン環の開裂を含む連続的なアルキル化によりDNAをクロスリンクする活性発現機構(1→4)が推定されているが,反応の順序や中間体については明らかとなっていない.
    Herzonらはmyrocin Cの機能発現において,ジオスフェノール構造を持つ未知の活性化型中間体2(myrocin Gと命名)が関与する機構を提唱している.すなわち,1より生じた2に対し,C環アリルアルコール部位でのSN2ʼ型機構による1度目の付加(2→3)と,ジエノン構造によって活性化されたシクロプロパン環の開裂を伴う2度目の付加(3→4)が起きるメカニズムである.今回,2の合成とその反応性が報告されたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Nakagawa M. et al., J. Antibiot., 42, 218-222(1989).
    2) Chu-Moyer M. Y. et al., J. Am. Chem. Soc., 116, 11213-11228(1994).
    3) Chu-Moyer M. Y., Danishefsky S. J., Tetrahedron Lett., 34, 3025-3028(1993).
    4) Economou C. et al., J. Am. Chem. Soc., 140, 16058-16061(2018).
  • 吉川 祐介
    2019 年 55 巻 10 号 p. 977
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    スプライシングは,mRNA前駆体からイントロンを除去して成熟mRNAを産生する遺伝子発現において必須の工程である.近年,特定のがん種でスプライシング因子(スプライソソーム)の変異が報告されるなど,スプライシングは新たな抗がん剤の創薬ターゲットとして注目されている.
    スプライソソームはU1〜U5の5つのタンパク質因子から構成されているが,U2構成因子の1つsplicing factor 3B subunit 1(SF3B1)-RNA複合体の機能制御が近年注目を集めている.例えば,2007年には天然物pladienolide B(1)がSF3B1-RNA複合体のスプライシングの進行を阻害し,強力ながん細胞増殖抑制活性を示すことが報告された.また,1とヒトSF3B1タンパク複合体とのX線共結晶構造解析が報告され,1とSF3B1の結合部位周辺アミノ酸配列情報が明らかにされた.本稿ではSarahらが最近報告した,イースト菌SF3B1タンパク複合体を用いたスプライシング阻害活性評価系の構築について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Yoshida M. et al., Nat. Chem. Biol., 3, 570-575(2007).
    2) Constantin C. et al., Mol. Cell, 70, 265-273(2018).
    3) Sarah R. H. et al., Cell Chem. Biol., 26, 443-448(2019).
  • 赤木 淳二
    2019 年 55 巻 10 号 p. 978
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    漢方薬の副作用で最も頻度の高いものに,カンゾウ含有処方が引き起こす「偽アルドステロン症」が挙げられる.偽アルドステロン症は,血圧を上昇させるホルモンであるアルドステロンが増加していないにも関わらず,高血圧,むくみ,カルシウム喪失などを引き起こす病態である.通常は軽症で済むことが多いが,発見が遅れた場合,あるいは高齢者などでは不整脈などを起こして重篤な状態に至ることもある.
    これまでその発症機序は,カンゾウに含まれる「グリチルリチン酸(GL,1)」の腸内細菌代謝物グリチルレチン酸(GA,2)が血中に移行後,内因性のコルチゾルを不活性化する11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)2を阻害することにより,体内で過剰となったコルチゾルがミネラルコルチコイド受容体に結合するためと考えられてきた.しかし,2はカンゾウ服用後のほぼすべてのヒトの血液中に検出される成分であり,その血中濃度と偽アルドステロン症発症との相関性も認められないことから,これまで偽アルドステロン症の原因物質の特定と,発症を予測するバイオマーカーの同定が求められていた.
    最近Ishiuchiらは,2よりも11β-HSD2阻害作用の強い2の代謝物を発見し,この成分が真の原因物質である可能性を示した.本稿では,この研究成果について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Stewart P. M. et al., Lancet, 2, 821-823(1987).
    2) Ishiuchi K. et al., Sci. Rep., 9, 1587(2019).
  • 水野 初
    2019 年 55 巻 10 号 p. 979
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    膜タンパク質や分泌タンパク質は多くの疾患バイオマーカーや治療対象分子であり,生理学的に非常に重要である.質量分析法は,複数の質量が異なる標的タンパク質をすべて同時に検出できる.一方で,分子量の大きなタンパク質をイオン化させて質量分離するため,検出感度が低いという問題がある.そこで,酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)と同様に検出抗体に酵素を標識し,基質と反応した低分子生成物を質量分析する,ELIMSA法が開発された.この方法はタンパク質そのものではなく,酵素反応により得られた低分子生成物を質量分析するため,検出感度の大幅な向上を達成したが,LCによる分離精製が必要なためスループットの面で課題が残った.本稿ではこれらの課題を克服し,血液1滴またはがん細胞1個からこれらのタンパク質を検出するELISAと質量分析法を組み合わせた超高感度質量分析イムノアッセイ法について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhang C. et al., J. Am. Chem. Soc., 139, 10996-10999(2017).
    2) Florentinus-Mefailoski A. et al., J. Proteomics, 96, 343-352(2014).
    3) Xu S. et al.,J. Am. Chem. Soc., 141, 72-75(2019).
  • 森本 和志
    2019 年 55 巻 10 号 p. 980
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は細胞間情報伝達を司る重要な創薬ターゲットであるが,そのうちclass Cに分類されるサブファミリーは細胞外に大きなリガンド結合ドメイン(venus flytrap(VFT)domain)を有することを特徴とし,グルタミン酸・GABA・甘味受容体などが含まれる.これまでVFTドメインや7回膜貫通(7TM)ドメインのX線結晶構造についてはいくつか報告されてきたが,リガンド結合によるVFTドメインの構造変化がどのようにして7TMドメインの活性化につながるのかは不明であった.
    本稿では,近年発展の目覚ましい電子顕微鏡単粒子解析(CryoEM)で明らかになった代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)5の全長構造,およびリガンド結合に伴う構造変化に関する報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Koehl A. et al., Nature, 566, 79-84(2019).
    2) Doumazane E. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 110, E1416-1425(2013).
    3) Xue L. et al., Nat. Chem. Biol., 11, 134-140(2015).
  • 道永 昌太郎
    2019 年 55 巻 10 号 p. 981
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    グリア細胞の一種であるアストロサイトは,神経細胞をサポートすることで脳機能の恒常性維持に関わることが周知されていた.近年,アストロサイト自身も脳機能の調節や脳疾患の病態に積極的に寄与することが明らかとなり,生理的および病態生理的な脳機能調節におけるアストロサイトの役割がより重要視されている.生体が生きるうえで重要な脳機能として,概日リズムの調節が挙げられる.概日リズムは約24時間周期で変動する睡眠・覚醒などの生理現象を調節する.概日リズムの破綻は睡眠障害の原因となり,うつ病や自閉症などの発症に関わる.したがって,概日リズムの研究は健康寿命を延ばすための重要な課題である.本稿では,アストロサイトの脳機能における新たな役割として,概日リズムの調節に注目したBrancaccioらの論文について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Pekny M. et al., Acta Neuropathol., 13, 323-345(2016).
    2) Logan R. W., McClung C. A., Nat. Rev. Neurosci., 20, 49-65(2019).
    3) Brancaccio M. et al., Science, 363, 187-192(2019).
  • 古賀 貴之
    2019 年 55 巻 10 号 p. 982
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    現在,地球環境は海洋汚染やオゾン層破壊など多くの問題を抱えている.なかでも,2018年に公表された気候変動に関する政府間パネルの特別報告書では,地球の平均気温は今後も持続的に上昇すると予測されており,地球温暖化は現在のみならず将来にわたってその影響が持続する問題とされている.地球温暖化による生育環境温度の上昇は,その環境に生育する生物の生殖機能を直接的にかく乱することが報告されているが,その一方で,内分泌かく乱化学物質(endocrine disruptor compound: EDC)による被曝露個体への生体影響にも作用を及ぼすことも報告されている.
    一般に,EDCによる生体への影響には,被曝露世代への直接影響のみならず,直接EDCに曝露されていない子や孫などの後世代にも波及する影響,いわゆる後世代影響があることが知られている.そのため,EDCの作用に対する地球温暖化の影響の検討では,被曝露世代のみならず,この後世代影響に着目した検討も重要であると考えられる.本稿では,生育環境温度とEDCの後世代影響の関係性に着目したDeCourtenらの研究成果を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Allen M. R. et al., “Global Warming of 1.5℃. An IPCC Special Report”, IPCC, in press.
    2) Miranda L. A. et al., Gen. Comp. Endocrinol., 192, 45-54(2013).
    3) Luzio A. et al., Aquat. Toxicol., 174, 22-35(2016).
    4) DeCourten B. M. et al., PeerJ., 7, e6156(2019).
  • 石田 奈津子
    2019 年 55 巻 10 号 p. 983
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    ドパミン前駆物質であるレボドパはパーキンソン病の運動機能障害に対して最も有効な治療薬である.パーキンソン病の初期治療に関しては,QOLを考慮すると,できるだけ早期から薬物治療を開始することが推奨される.しかし,レボドパについては,長期の高用量使用によりウェアリングオフやジスキネジアなどの運動合併症が出現しやすいことに加え,理論上神経毒性を有し,パーキンソン病の進行を早めることが危惧される.このため,レボドパの開始時期に関する明確なエビデンスが求められている.そこで,臨床におけるレボドパの神経毒性を評価するためにELLDOPA試験が行われた.この結果,臨床データからレボドパはパーキンソン病の進行を促進せず,むしろ抑制する疾患修飾性を有する可能性が示された.ただし神経画像データからは,レボドパがドパミン作動性神経終末の欠損を促進することが示唆され,臨床評価と画像評価が矛盾する結果となった.
    本稿では,ELLDOPA試験で示唆されたレボドパの疾患修飾効果を明らかにすることを目的としたLEAP試験の結果を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Fahn S. et al., N. Engl. J. Med., 351, 2498-2508(2004).
    2) Verschuur C. V. M. et al., N. Engl. J. Med., 380, 315-324(2019).
    3) Leber P., Alzheimer Dis. Assoc. Disord., 10(S1), 31-35(1996).
資料
  • 神野 透人
    2019 年 55 巻 10 号 p. 959
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル 認証あり
    室内空気中の化学物質はシックハウス症候群の主要な病因であり,厚生省(現 厚生労働省)は1997〜2002年にホルムアルデヒド等13物質に室内濃度指針値を,また総体的な室内空気汚染の指標として総揮発性有機化合物(TVOC)に暫定目標値を設定した.室内濃度指針値は「公衆衛生の観点から,化学物質の不必要な曝露を低減し,それらが健康影響の危惧を起こすことなく安全かつ適正に使用されることを目的として,シックハウス対策に取り組むにあたって参考となる濃度」であり,現状で入手可能な毒性に関する科学的知見に基づき,ヒトが指針値以下の濃度でその化学物質に一生涯曝露されても,健康に有害な影響はないとして算出された値である.
    2012年に約8年ぶりに再開されたシックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会(シックハウス検討会)で,指針値設定化合物の代替として使用される揮発性有機化合物による室内空気汚染について審議が重ねられ,2019年1月にキシレン,フタル酸ジ-n-ブチルおよびフタル酸ジ-2-エチルヘキシルの室内濃度指針値が改定された(http://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/situnai/hyou.html).
追悼
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