ファルマシア
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最前線
新たなワクチンデリバリーシステムとしての不活化経鼻ワクチンの開発
長谷川 秀樹
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2019 年 55 巻 11 号 p. 1054-1057

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抄録

インフルエンザは,我が国では毎年冬に流行する.ワクチンが導入され,毎年数千万人の国民が秋から冬にかけて接種しているが,その流行は止まらず毎年繰り返されている.それではなぜ,高いワクチン接種率にもかかわらず毎年のインフルエンザの流行が起こるのか.その解答は,ワクチン接種によって誘導されるヒトの免疫とその働き方にあると思われる.それは,ワクチン接種により誘導される血中の抗体がインフルエンザワクチンの感染防御にあまり有効でないため,起こると考えられる.
そこで,インフルエンザの予防に関しては新しいアプローチが必要であり,より良く効き,流行曲線を下げる効果のある新しいワクチンが必要である.現行のワクチンは,インフルエンザウイルスの感染阻止には不十分であり,感染の場である上気道粘膜上に感染を阻止し得る粘膜免疫を誘導する必要がある.その際,経鼻インフルエンザワクチンは粘膜免疫を誘導する強力なツールになる.
本稿では,新たなワクチンデリバリーシステムとして粘膜免疫を誘導する不活化経鼻インフルエンザワクチンについて概説する.

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© 2019 The Pharmaceutical Society of Japan
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