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ボノプラザンはCYPで代謝活性化される抗血小板薬の薬効を減弱させる
工藤 敏之
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2019 年 55 巻 2 号 p. 173

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抄録

ボノプラザンは新しい作用機序を持つプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor: PPI)であり,我が国においてのみ販売されている.PPIであるエソメプラゾールは,CYP2C19の活性を阻害することが知られており,CYP2C19基質であるジアゼパムなどが併用注意とされているが,ボノプラザンの添付文書にはCYP基質との相互作用の記載はない.チエノピリジン系抗血小板薬であるクロピドグレルおよびプラスグレルは,消化管出血のリスクを増大させることが知られているため,その予防のためにPPIを併用することが推奨されている.一方で,クロピドグレルはCYP2C19およびCYP3A4に,またプラスグレルは主にCYP3A4によって活性体に変換されるプロドラッグであることから,併用薬による代謝阻害に基づく抗血小板作用の減弱が懸念される.本稿では,クロピドグレルおよびプラスグレルの薬効に及ぼすエソメプラゾールおよびボノプラザンの影響について臨床薬物相互作用試験により検討した例を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Abraham N. S. et al., Am. J. Gastroenterol., 105, 2533-2549(2010).
2) Kagami T. et al., Clin. Pharmacol. Ther., 103, 906-913(2018).
3) Nishihara M. et al., Clin. Pharmacol. Ther., 104, 31-32(2018).
4) Kagami T. et al., Clin. Pharmacol. Ther., 104, 33-34(2018).

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© 2019 The Pharmaceutical Society of Japan
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