ファルマシア
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新作用機序:DprE1阻害活性を有する抗結核薬の開発最前線
山崎 直人
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2019 年 55 巻 8 号 p. 790

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抄録

全世界で年間1千万人以上が感染する結核は,約10%が死亡する致死率の高い感染症である.我が国でも,毎年1万人以上が新規感染することから,蔓延防止を目指している.結核の治療には,リファンピシンとイソニアジドを軸にした多剤併用療法が繁用されている.しかし,近年これらの薬剤耐性菌が出現し,耐性菌に起因する難治例が年間55万件以上もWHOに報告されている.そのため製薬業界では,新たな抗結核薬の開発が精力的に展開されてきた.最近では,新規な作用機序としてDprE1阻害剤が注目されており,先行開発されたBTZ043は,既に第一相の臨床試験が実施されている.本稿では,グラクソ・スミスクライン社のRogackiらが報告したヒダントイン系DprE1阻害剤の開発について紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) “ClinicalTrials.gov”, https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03590600
2) Rogacki M. K. et al., J. Med. Chem., 61, 11221-11249(2018).
3) Makarov V. et al., Science, 324, 801-804(2009).
4) Brecik M. et al., ACS Chem. Biol., 10, 1631-1636(2015).

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© 2019 The Pharmaceutical Society of Japan
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