ファルマシア
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環状化合物によるヘテロ多価ペプチドの認識はアミロイド繊維化を抑制する
弘津 辰徳
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2019 年 55 巻 9 号 p. 887

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抄録

多価という概念は,複数の同じリガンドや受容体が同時に相互作用することであり,生化学や超分子化学の分野で近年注目を集めている.また,ヘテロ多価性は,結合適応性および選択性を有するため,広く研究されているホモ多価性よりも異所性表面を特徴とするタンパク質および膜のようなバイオ分野に対してより適している.その結果,ナノ医療におけるターゲティング,解毒および酵素阻害にヘテロ多価性が応用されてきた.一方,環状ホスト分子は特徴的な空洞を有するため,特定のゲスト分子と選択的に相互作用することが可能である.そこで,大環状ホスト化合物を利用してヘテロ多価分子認識を達成するために,2つ以上の異なる環状分子を1つの集合体に組み込むことにより,特にタンパク質や生体膜などに対する結合効率および選択性を劇的に改善すると考えられる.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Garcia-Moreno M. et al., Chem. Eur. J., 23, 6295-6304(2017).
2) Xu Z. et al., Nat. Chem., 11, 86-93(2019).
3) Song Y. et al., J. Am. Chem. Soc., 139, 4298-4301(2017).

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© 2019 The Pharmaceutical Society of Japan
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