ファルマシア
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生体内安定性に優れたシステイン残基選択的化学修飾試薬
花屋 賢悟
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2020 年 56 巻 1 号 p. 65

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抄録

タンパク質の特定のアミノ酸残基上に有機化合物を選択的に結合させる技術(化学修飾法)は,生命科学の基礎研究だけでなく,創薬においても重要な役割を果たしている.システインは,側鎖のチオールが高い求核性,金属配位性などのユニークな化学特性を示すため,化学修飾の重要な標的アミノ酸である.マレイミド誘導体は,システイン残基選択性が高く,反応が非常に速いため,現状最もよく利用されている.しかしながら,生成物が立体異性体混合物となること,並びに新たに生成するチオエーテル結合が生体内のグルタチオンにより分解することが欠点として考えられる.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Hackenberger C. P. R. et al., Org. Lett., 13, 5440-5443(2011).
2) Hackenberger C. P. R. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 58, 11625-11630(2019).
3) Hackenberger C. P. R. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 58, 11631-11636(2019).

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© 2020 The Pharmaceutical Society of Japan
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