ファルマシア
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最新号
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目次
  • 2020 年 56 巻 1 号 p. 2-3
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル フリー
    特集:ケモテクノロジーが拓くユビキチン創薬研究の新展開
    特集にあたって:ユビキチン修飾における構造的多様性やそのデコーダー分子の同定により,ユビキチンが種々の細胞機能を時空間的に制御する仕組みが解明されつつある.プロテアソーム阻害剤や低分子化合物による標的タンパク質分解を誘導するレナリミドが,がん治療に奏効したことを受けて,ユビキチン化酵素や関連分子を標的とした阻害剤開発「ユビキチン創薬」が大規模に進展している.とりわけ,低分子化合物による標的タンパク質の選択的分解誘導技術(PROTACやSNIPER)は,新たな細胞機能制御技術,研究ツール,また医薬品候補化合物を生み出す創薬技術として大きな関心を集めている.このようなホットな研究領域を読者諸氏に紹介したく,本特集号を企画した.
    表紙の説明:ユビキチン修飾の機能情報は「ユビキチンコード」と呼ばれ,特異的なデコーダー分子に読み解かれることで,様々な機能を発現する.近年,有機化学によるケモテクノロジーとの融合により,ユビキチンコードを「識る」「操る」「創る」研究が展開され,ユビキチンコードの動作原理を解き明かすとともに,ユビキチンを利用した新しい細胞機能制御技術の創成が期待されている.
オピニオン
Editor's Eye
セミナー
セミナー
最前線
セミナー
最前線
  • 沖米田 司
    2020 年 56 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,嚢胞性線維症(Cystic Fibrosis: CF)の病因発症機構が分子レベルで明らかとなり,根本的治療薬として CFTR モジュレーターが上市された.しかしながら,臨床での CFTR モジュレーターの有効性は非常に低く,新しい作用機序に基づいた根本的治療薬の開発が世界中で期待されている.CF の原因となる CFTR の発現異常にはユビキチン化が関与し,その分子機構も明らかになりつつある.本稿では,CF の根本的治療薬の現状と,最近注目されているユビキチン創薬の可能性について紹介する.
最前線
セミナー
最前線
最前線
新薬のプロフィル
くすりの博物館をゆく
  • 池田 幸弘
    2020 年 56 巻 1 号 p. 58-59
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル 認証あり
    今回はコーヒーブレイクとも言える館を紹介したい.
    鹿児島本線の教育大前駅で降りる.この駅の南側に,小倉と唐津を結ぶ唐津街道の宿場町の1つである赤間宿が広がっている.「赤間」の地名は,神武天皇の東征時にこの地の神が赤い馬に乗って迎えたことに由来する.このように唐津街道の歴史は古く,大陸文化を伝播する道として発展した.その後は,元寇に対する備えや豊臣秀吉の朝鮮出兵にも利用され,さらには参勤交代の道や幕末の志士が行き交う道として,時を超えて大きな役割を担い続けてきた.赤間宿に滞在していた三条実美らを西郷隆盛や高杉晋作が訪ねて倒幕の討議をしたとの記録も残っている.
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
トピックス
  • 上田 篤志
    2020 年 56 巻 1 号 p. 64
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル 認証あり
    グリコシル化反応は糖鎖や糖複合体合成に不可欠であり,これまでに様々な手法が開発されている.一般的なグリコシル化反応では,トリクロロアセトイミダート(TCA)やチオグリコシドなどの糖供与体と求核種となる糖受容体,さらに糖供与体を活性化させるプロモーターの3種が必要となる.また多くの場合,オキソカルベニウムイオン中間体を経由するため,生成物の立体選択性は糖供与体のアノマー位の立体化学には影響しない.糖受容体としてリン酸やカルボン酸を用いた場合,それ自身が糖供与体のプロモーターとなることは既に知られているが,生成物の立体化学を制御する自己促進型N-グリコシル化反応については報告がなかった.
    最近Pedersenらは,スルホンアミドを糖受容体とすることで,プロモーターを必要としないα体の糖供与体の立体特異的β-N-グリコシル化を達成したので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Schmidt R. R. et al., Tetrahedron Lett., 23, 405-408(1982).
    2) Gould N. D. et al., Carbohydr. Res., 382, 36-42(2013).
    3) Nielsen M. M. et al., Chem. Sci., 10, 5299-5307(2019).
  • 花屋 賢悟
    2020 年 56 巻 1 号 p. 65
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル 認証あり
    タンパク質の特定のアミノ酸残基上に有機化合物を選択的に結合させる技術(化学修飾法)は,生命科学の基礎研究だけでなく,創薬においても重要な役割を果たしている.システインは,側鎖のチオールが高い求核性,金属配位性などのユニークな化学特性を示すため,化学修飾の重要な標的アミノ酸である.マレイミド誘導体は,システイン残基選択性が高く,反応が非常に速いため,現状最もよく利用されている.しかしながら,生成物が立体異性体混合物となること,並びに新たに生成するチオエーテル結合が生体内のグルタチオンにより分解することが欠点として考えられる.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Hackenberger C. P. R. et al., Org. Lett., 13, 5440-5443(2011).
    2) Hackenberger C. P. R. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 58, 11625-11630(2019).
    3) Hackenberger C. P. R. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 58, 11631-11636(2019).
  • 人羅 勇気
    2020 年 56 巻 1 号 p. 66
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル 認証あり
    海綿動物は,世界各地の海に生息する最も原始的な多細胞生物であり,その体内には大量の共生微生物が存在する.また,海綿から数多くの生物活性物質が見いだされており,創薬シーズとして利用されている.近年,海綿共生細菌がそれらの多様な生物活性物質の一部を生産していることが明らかとなった.海綿由来の生物活性物質は,量的供給の問題から創薬研究への展開が困難である場合が多いが,海綿共生細菌を活用し,生物生産による化合物供給が可能となれば,創薬研究への応用が期待される.レニエラマイシン類は,1982年にFrinckeらによってHaliclona属海綿より発見された海洋天然物である.これまでに約30種類のレニエラマイシン類縁体が発見されており,抗菌活性や細胞毒性など幅広い生物活性が報告されている.また,共通の部分構造を有するトラベクテジンが悪性軟部腫瘍治療薬として認可されており,レニエラマイシン類も医薬品リード化合物として注目されている.本稿では,Haliclona属海綿に含まれるレニエラマイシンE(図1)をはじめとするレニエラマイシン類の生産菌に関する研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Wilson M. C. et al., Nature, 506, 58-62(2014).
    2) Frincke J. M. et al., J. Am. Chem. Soc. 104, 265-269(1982).
    3) Tianero M. D. et al., Nature Microbiol. 4, 1149-1159(2019).
  • 高倉 栄男
    2020 年 56 巻 1 号 p. 67
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル 認証あり
    細胞の膜の張力はその生理活動において厳密に制御されている.そのため,張力が正常に働かない場合には様々な機能異常をきたし,例えばエンドサイトーシスの阻害や細胞分裂の遅れが生じる.よって生細胞において膜の張力を測定できれば,生命現象を理解する上で重要な知見が得られると考えられる.現在のところ,光ピンセットによる張力測定が行われているが,測定値の取得が複雑なこと,測定そのものが張力に影響を与えてしまうことが欠点として挙げられる.また,原理的に細胞内小器官の張力測定は行えないため,この問題の克服には小分子プローブによる張力測定法が必要とされていた.
    本稿では,生体膜の張力を蛍光寿命にてモニターできる蛍光プローブを用いて,細胞内小器官の膜の張力イメージングを行った研究について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Colom A. et al., Nat. Chem., 10, 1118-1125(2018).
    2) Goujon A. et al., J. Am. Chem. Soc., 141, 3380-3384(2019).
  • 本田 拓也
    2020 年 56 巻 1 号 p. 68
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル 認証あり
    脳において,ニューロンはグリア細胞と密接に相互作用しその機能を維持している.特にアストロサイトとは代謝産物や抗酸化物質の交換などを行っており,これらの代謝物交換がニューロンの高活性を維持するのに必要であることが知られている.しかし,代謝産物の中でも脂質,特に脂肪酸がニューロン-アストロサイト間で交換されているのか,またそれがニューロンの機能に与える影響については解明されていない.本稿ではニューロン-アストロサイト間での脂肪酸の輸送機構について明らかにした報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Belanger M. et al., Cell Metab., 14, 724-738(2011).
    2) Ioannou M. et al., Cell, 177, 1522-1535(2019).
    3) Sultana M. et al., Free Radic. Biol. Med., 62, 157-169(2013).
  • 國澤 和生
    2020 年 56 巻 1 号 p. 69
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル 認証あり
    ミクログリアは神経活動を敏感に感じ取り,活動の低いニューロンのシナプスを特異的に除去する.近年,自閉症や統合失調症,アルツハイマー型認知症などの発症要因に,ミクログリアによるシナプス除去の制御不全が関与していることが報告された.しかし,ミクログリアがどのように神経活動を察知し,シナプス除去機構に働くかは未だ不明である.マウス大脳皮質体性感覚野には,ヒゲ感覚入力を受け取る「バレル皮質」とよばれる精密な神経回路網を形成する領域がある.バレル皮質は,シナプスリモデリングを研究する上で有用な領域である.
    本稿では,ヒゲ焼灼が誘発するバレル皮質でのシナプス除去にミクログリアがどのような機序で関与するかを明らかにしたGunnerらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Schafer D. P. et al., Neuron, 74, 691-705(2012).
    2) Hong S. et al., Curr. Opin. Neurobiol., 36, 128-134(2016).
    3) Gunner G. et al., Nat. Neurosci., 22, 1075-1088(2019).
    4) Lauro C. et al., Ann. NY Acad. Sci., 1351, 141-148(2015).
    5) Pruessmeyer J. et al., Semin, Cell Dev. Biol., 20, 164-174(2009).
  • 児玉 進
    2020 年 56 巻 1 号 p. 70
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル 認証あり
    特異体質性の薬物性肝障害(idiosyncratic drug-induced liver injury: iDILI)は,発症は稀であるが,時に死に至る可能性のある潜在的に重篤な薬物副作用である.iDILIが発症する過程は複雑で,複数の機構が重複して働き,患者個人の特異的なリスク因子と関連することから,その発症機序に不明な点が多く,正確に発症予測する方法は確立されていない.したがって,発症の機序解明や予測試験系の確立は,創薬と薬物治療における重要な課題である.
    近年の研究により,特定のヒト白血球抗原(human leukocyte antigen: HLA)タイプを有すると一部のiDILI原因薬物に対する感受性が増加すること,iDILI患者由来の特定のHLAタイプを発現するT細胞がiDILI原因薬物によって活性化を受けること,などが報告され,iDILIの発症には適応免疫が関与することが示されてきた.しかし,iDILI患者において肝臓に適応免疫を発動させるために,原因薬物がどのような経路を介してT細胞を活性化するに至るかは不明であった.他方,細胞から分泌される膜小胞のエクソソームは,核酸や脂質,タンパク質を内包して近傍または遠隔の標的細胞に情報を運び,近年様々な免疫応答の制御への関与が注目されている.
    本稿では,エクソソームが,iDILI原因薬物修飾タンパク質を肝細胞から免疫系へ運び,薬物修飾抗原に特異的なT細胞応答を誘導して細胞間情報伝達において重要な役割を有する可能性を示したOgeseらの最近の研究成果を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kullak-Ublick G. A. et al., Gut, 66, 1154-1164(2017).
    2) Robbins P. D., Morelli A. E., Nat. Rev. Immunol., 14, 195-208(2014).
    3) Ogese M. O. et al., Hepatology, 70, 1732-1749(2019).
  • 小島 穂菜美
    2020 年 56 巻 1 号 p. 71
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル 認証あり
    医薬品の味は患者の服薬アドヒアランスに影響する因子の1つであり,薬物の苦味マスキングは製剤設計上,重要な課題である.苦味マスキングの技術のうちの1つである生化学的方法は苦味受容部位に苦味マスキング物質を反応させ,苦味の応答を抑える方法である.本稿では,Itoigawaらが見いだした苦味受容体のインバースアゴニストとなる物質の研究成果について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Itoigawa A. et al., Proc. Biol. Sci., 286, online 5 Jun. 2019, doi:10.1098/rspb.2019.0884.
    2) Zhang C. et al., J. Argic. Food. Chem., 66, 4902-4912(2018).
    3) Xu Q. et al., Food. Chem., 283, 621-627(2019).
最終講義
Information
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談話室
  • 笹井 泰志
    2020 年 56 巻 1 号 p. 72_1
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル 認証あり
    学会発表では、通常、所定時間の質疑応答の機会が設けられる。質疑応答では、短時間に簡潔に回答する必要があるため、コミュニケーション能力を十分に養う必要がある。特に、学生には、日頃のミーティングでも相手が何を聞こうとしているのかだけでなく、上手に情報伝達することを意識するように指導している。また、生活の場面では、就学前の子供の質問にも言葉を選んで答えているが、回答にダメ出しを受け、屈辱感を味わうこともある。こんな日常も質疑応答のトレーニングになればと前向きに捉えたい。
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