ファルマシア
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甘いだけではない糖との関係:終末糖化産物(AGEs)による不妊の惹起
宮内 優
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2020 年 56 巻 10 号 p. 960

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抄録

グルコースなどの還元糖は,タンパク質の遊離アミノ酸残基に結合し,メイラード反応と呼ばれる多段階の不可逆的な反応を受ける.この反応により生成した終末糖化産物(advanced glycation end-products: AGEs)は,AGEs受容体(the receptor for AGEs: RAGE)に結合し,炎症シグナルを介して加齢や多くの炎症性疾患(糖尿病,がん,アルツハイマー病など)を惹起する.この炎症シグナルによって新たなRAGEの発現が誘導されるため,一度生じたAGEs-RAGEシグナルは増悪のループを形成する.このAGEs-RAGEシグナルは不妊の原因となることも知られている.本稿では,不妊原因の1つとして知られる,多嚢胞性卵胞症候群(polycystic ovary syndrome: PCOS)とAGEs-RAGEシグナル/小胞体ストレスとの関連を報告したAzharyらの研究成果について紹介したい.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Brownlee M., Annu. Rev. Med., 46, 223-234(1995).
2) Hudson B. I., Lippman M. E., Annu. Rev. Med., 69, 349-364(2018).
3) Azhary J. M. K. et al., Endocrinology, 161, bqaa015(2020).
4) Baba T., Acta. Obst. Gynaec. Jpn., 65, 2709-2720(2013).

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© 2020 The Pharmaceutical Society of Japan
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