2020 年 56 巻 9 号 p. 866
(−)-Curvulamine(1)は,2014年にTanらによって魚類シログチに共生する真菌Curvularia sp. IFB-Z10から単離されたビスピロールアルカロイドであり,グラム陽性および陰性菌に対し抗菌活性を示すことが報告されている.6つの連続した不斉炭素を有する特異な五環性骨格の中に,酸や酸化条件に敏感であるピロール環が2つ含まれる非常に挑戦的な合成標的である.今回,Maimoneらは10π複素環芳香族化合物を巧みに利用することで初めての(−)-1の全合成を達成したので,以下に紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Han W. B. et al., Org. Lett., 16, 5366-5369(2014).
2) Haelsig K. T. et al., J. Am. Chem. Soc., 142, 1206-1210(2020).