抄録
DNAメチル基転移酵素(DNMT1)は,がん細胞のDNAメチル化制御を介して細胞周期の回転を促進する.転移性脳腫瘍では転移巣ごとにDNMT1の発現が異なり,これは本酵素が腫瘍の生存とその後の成長に異なる機構で関わるためと考えられた.本稿では,DNMT1の抑制に起因する脳転移形成スキームと,それに脳微小環境が果たす役割を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Zhang W. et al., Biomark. Res., 5, 1(2017).
2) Hirata E. et al., iScience, 23, 101480(2020).
3) Missiaglia E. et al., Oncogene, 24, 199-211(2005).