ファルマシア
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57 巻 , 9 号
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目次
  • 2021 年 57 巻 9 号 p. 792-793
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
    特集:ペプチド化学の進歩と次世代の創薬
    特集にあたって:近年,抗体医薬品や中分子医薬品などペプチドを利用した創薬に注目が集まっている.ペプチドを利用した創薬は半世紀ほど前から進められていたが,生体内での不安定性などのため創薬への応用は非常に限られていた.しかしながら,ペプチド化学における研究成果の積み重ねとそれに関連する科学の進歩によって,今やペプチドが創薬の主役と言っても過言ではない.本特集号では,ペプチドの革新的合成法の開発や機能制御などの基礎研究からペプチドを利用した実践的創薬研究までを紹介する.読者の皆様には,様々な視点からペプチド化学の進歩と医薬品としての将来性について考えていただきたい.
    表紙の説明:ペプチドは,アミノ酸どうしをペプチド結合(-CO-NH-)により結合させることで生成される.ペプチド結合だけをみると非常に単純な化合物と思うかもしれないが,アミノ酸の側鎖の違いによってペプチドはきわめて多様な構造と機能を示す.中心のペプチド結合から派生した6つの図は,アミノ酸の種類,ペプチドの構造,α-ヘリックスの修飾などの観点から生まれた,ペプチドを効果的に創薬へ応用するための革新的技術である.
オピニオン
  • 玉村 啓和
    2021 年 57 巻 9 号 p. 791
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    くすりと言えば、20世紀では低分子が良いとされていたが、ここ十数年で高分子の抗体が台頭してきた。さらに、これらの分子量的に中間となる中分子が両者の長所のみを採用し、短所を補足すると考えられ、中分子であるペプチドはまさに日の目を見るようになってきた。中分子の特徴としては、高分子と同じく大きな界面で標的分子に結合することが可能であり、中分子のターゲットは豊富にあると考えられる。今後、ペプチドが中分子のメリットを生かして、明日の創薬研究を先導することを期待する。
Editor's Eye
話題
最前線
話題
  • 川島 茂裕, 金井 求
    2021 年 57 巻 9 号 p. 810-814
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    ヒストンは様々な翻訳後修飾を受けることでエピゲノムを構成し、クロマチン構造及び遺伝子発現の動的な制御に関与している。ヒストン修飾の異常は、がんなど様々な疾患に関わるため、ヒストン修飾を人工的・化学的に導入することができれば、エピジェネティクスが関わる様々な疾患の原因解明および治療につながることが期待されている。著者の研究グループでは、細胞内においてヒストン修飾可能な化学触媒の開発を行ってきた。本稿では、著者らがこれまでに開発したヒストンアシル化触媒について最新の知見を中心に紹介する。
最前線
最前線
話題
話題
話題
最前線
速報 最前線
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2021 年 57 巻 9 号 p. 848
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和3年6月23日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
期待の若手
  • 井上 飛鳥
    2021 年 57 巻 9 号 p. 853_1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    多分に洩れず,若手研究者として自己顕示欲に駆られつつも,実力不足でそれが満たされないジレンマにもがいていた10年前を思い出す.勇んで乗り込んだ国際学会ではスター研究者に近づいてもまともに相手にされず,もどかしい思いを何度もした.海外での研究経験がないことを自己弁護にしても道は開けないのは知っていた.職人気質を込めて作ってきたGタンパク質共役型受容体(GPCR)シグナル解析手法には自信があり,これを売り込み続けていると,所々で取り合ってくれる研究者に出会った.食いついたら離すまいと相手の研究室に乗り込むアポを取り付けて,海外へ実験出稽古に行き押し売りを続けた.開発した実験ツールは先行投資のつもりで惜しげもなく配った.売り込みを続けていると,同僚の研究者に取り次いでもらえる機会が増えた.身にしみて感じたのは,口コミの強さである.世の中に五万と存在するGPCR解析手法の中で,わざわざこちらの手法を選ぶ決め手は親しい同僚研究者の評判であることを見聞きしてきた.また,研究内容を信頼してもらうためには,飲みニケーションを通じてお互いの気心を知ることも大事である.海外の学会ではアルコールが尽きるまで居残ることにしている.出稽古修行の総仕上げとして,2019年にデューク大学・Robert Lefkowitz教授(2012年ノーベル化学賞受賞者)の研究室に乗り込んだときは,私がGPCR全般の研究を始めて約10年の月日が経過していた.GPCR分野で認知されネットワークが広がると入ってくる情報が断然増え,潮流を踏まえた先々の先の研究を展開できる利点を実感している.構造から機能をつなぐ領域に私自身の強みを見いだしており,最近取り組み始めた計算科学を組み合わせて,GPCRシグナルの自在な操作とバイアスリガンド創薬の実現を目指している.
期待の若手
トピックス
  • 中嶋 龍
    2021 年 57 巻 9 号 p. 854
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    フッ化アシル1は,塩化アシルと比較して安定な化学種であり,求電子的アシル化剤の他,金属カップリング反応におけるアルキル(R),アシル(RCO),フッ素源として利用可能なことから,近年注目を集めている.1は,一般にカルボン酸2の脱酸素的フッ素化によって合成されるが,三フッ化ジエチルアミノ硫黄 (DAST)等の高価で不安定な試薬を必要としていた.一方,アルデヒド3またはアルコール4から1への直接的変換も可能であるが,CsSO4Fを用いる手法では試薬の用時調製が,タングステン触媒存在下でN-フルオロベンゼンスルホンイミド(NFSI)を用いる手法では紫外線照射が必要であった.最近Liang,柴田らは,カルボン酸2,アルデヒド3およびアルコール4を安価で安定な固体試薬によりフッ化アシル1へ変換する新たな手法を開発したので本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Stavber S. et al., J. Org. Chem., 57, 5334-5337(1992).
    2) Meanwell M. et al., Chem. Commun., 54, 9985-9988(2018).
    3) Liang Y. et al., Org. Lett., 23, 847-852 (2021).
  • 佐山 美紗
    2021 年 57 巻 9 号 p. 855
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    細胞外の情報を細胞内に伝えるため,細胞膜上には細胞外のシグナル分子が結合する種々の受容体タンパク質が存在する.Gタンパク質共役型受容体(GPCR)はそのような膜受容体の1種であり,多くの医薬品の標的となっている.GPCRはその名の通り膜の内側表面でGタンパク質を活性化するが,実際には活性化される分子は1種類ではなく,複数の下流分子を活性化する.特定の下流分子を選択的に活性化するGPCRリガンドは,バイアスドリガンドと呼ばれ,副作用の少ない医薬品の創製に有用だと考えられている.バイアスドリガンドが受容体に結合すると,内因性リガンドの結合時とは異なる受容体構造変化が引き起こされ,活性化される下流分子のパターンが変化すると考えられる.では,具体的にリガンド構造の違いがどのように応答の違いに結びつくのか.本稿では,ムスカリン性アセチルコリンM1受容体を対象としたHolzeらの研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Slosky L. M. et al., Trends Phamacol. Sci., 42, 283-299(2021).
    2) Holze J. et al., ACS Pharmacol. Transl. Sci., 3, 859-867(2020).
  • 北川 史夏
    2021 年 57 巻 9 号 p. 856
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    寄生植物は,他の植物に寄生し,水分や栄養を吸収して生きる植物である.ハマウツボ科の植物はほとんどが寄生植物であるが,なかでも最も有名なストライガは,アフリカなどでイネ科穀物に寄生し,深刻な農業被害を引き起こしている.また,日本にもナンバンギセルやコシオガマなどの寄生植物が存在し,多くの有用植物の生育が阻害されている.これらのことから,ハマウツボ科寄生植物の駆除を目的とした寄生メカニズムの解明が行われている.
    これまでに明らかにされている主な3例を挙げる.①1根に「吸器」と呼ばれる特殊な寄生器官を形成し,宿主の根に侵入し,維管束から水や栄養を奪う.②宿主との間にmRNAの移動を伴う.③同科寄生植物ヤセウツボ(Orobanche minor)の生育培地に芳香族アミノ酸 (AAAs:チロシン,フェニルアラニン,トリプトファン)を添加すると,その発芽や幼根の成長が阻害される.本稿では,③の知見をもとに,関連遺伝子導入によりAAAs産生量を増加させたタバコ(Nicotiana tabacum)を作製し,エジプトハマウツボ(O. aegyptiaca)の成長抑制に及ぼす影響を検討したOlivaらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Wakatake T. et al., BSJ-Review, 7, 241-249(2016).
    2) Fernández A. M. et al., Front. Plant Sci., online 17 May 2017.
    3) Oliva M. et al.,Front. Plant Sci., online 12 Jan. 2021.
  • 奥脇 弘次
    2021 年 57 巻 9 号 p. 857
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    タンパク質の細胞機能は,生体内でとる立体構造の熱力学的安定性によって制御されており,タンパク質内のアミノ酸に変異が生じるとその機能が変化し,様々な疾患の原因となる.多くの水溶性タンパク質の安定性は実験的に測定され,様々な知見が得られているものの,真核生物のタンパク質の1/3を占める膜タンパク質の安定性については,疎水性環境での測定が必須なために解明が進んでいない.膜タンパク質の安定化の原動力は疎水効果と言われており,アミノ酸の側鎖をリン脂質二重層に埋める際の自由エネルギー変化(ΔG°sc)と直接関係している.生体膜は大部分が脱溶媒された炭化水素で構成される中央部と,化学的に不均一な水層との界面領域を有しているが,この領域間で,水濃度と極性が連続的に変化しているため,膜タンパク質の折り畳みの理解には,ΔG°scの位置依存性の解明が必要となる.本稿では,大腸菌の外膜ホスホリパーゼA1(OmpLA)を対象に,実験とシミュレーションの両面からの検討により,二重膜内での疎水効果を定量化した報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Hong H. et al., Arch. Biochem. Biophys., 564, 297-313(2014).
    2) Marx D. C. et al., J. Am. Chem. Soc., 143, 764-772(2021).
    3) Capponi S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 112, 9016-9021(2015).
  • 佐藤 洋美
    2021 年 57 巻 9 号 p. 858
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    DNAメチル基転移酵素(DNMT1)は,がん細胞のDNAメチル化制御を介して細胞周期の回転を促進する.転移性脳腫瘍では転移巣ごとにDNMT1の発現が異なり,これは本酵素が腫瘍の生存とその後の成長に異なる機構で関わるためと考えられた.本稿では,DNMT1の抑制に起因する脳転移形成スキームと,それに脳微小環境が果たす役割を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhang W. et al., Biomark. Res., 5, 1(2017).
    2) Hirata E. et al., iScience, 23, 101480(2020).
    3) Missiaglia E. et al., Oncogene, 24, 199-211(2005).
  • 出山 諭司
    2021 年 57 巻 9 号 p. 859
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    他者の感覚や情動を共有する共感は,ヒトに特有のものではなく,多くの種で認められる進化的に保存された精神機能である.げっ歯類では,情動伝染(他個体の情動表出を観察した個体に同様の情動が惹起される現象)や,痛みの社会的伝達(痛がる他個体を観察した個体が痛覚過敏になる現象)などの共感的反応が認められる.自身が直接受けた痛みによる不快情動の生起に関与する前帯状皮質(anterior cingulate cortex: ACC)は,痛みの社会的伝達にも重要であることが報告されている.ACCは,側坐核(nucleus accumbens: NAc),扁桃体,視床などの情動反応の制御に関与する多くの脳部位と神経回路を形成しているが,ACCからどの脳部位への神経投射が共感的反応の1つである痛みの社会的伝達に関与しているかは不明であった.本稿では,痛みの社会的伝達におけるACCからNAcへの神経投射の役割を示したSmithらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Longford D. J. et al., Science, 312, 1967-1970(2006).
    2) Smith M. L. et al., eNeuro, 4, 0087-17(2017).
    3) Johansen J. P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 98, 8077-8082(2001).
    4) Smith M. L. et al., Science, 371, 153-159(2021).
  • 片山 将一
    2021 年 57 巻 9 号 p. 860
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    急性腎障害は腎臓機能の急速な低下を起因とした,血液中への老廃物の蓄積や,体内の水分バランスの異常を導く.具体的な症状・兆候として,尿量の著しい低下,倦怠感または疲労感,呼吸困難,むくみなどが挙げられる.急性腎障害の原因は様々であり,低血圧や心不全に起因する血流の減少,敗血症や横紋筋融解症などの疾患,そして腫瘍や結石による尿路の閉塞が急性腎障害の発症と密接に関与する.急性腎障害の治療ならびに合併症の予防のためには,その発症における分子機構を見いだすことが必須の課題である.近年,cyclin-dependent kinase-like5(CDKL5)と呼ばれるタンパク質リン酸化酵素が,腎障害および尿細管上皮細胞死に関与することが報告された.さらに続報として,横紋筋融解症に付随する急性腎障害とCDKL5との関係が報告された.本稿ではこれら2報の論文を概説する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kim J. Y. et al., Nat. Commun., 11, 1924 (2020).
    2) Kim J. Y. et al., Am. J. Physiol. Renal Physiol., 319, F920-F929(2020).
    3) Weaving L. S. et al., Am. J. Hum. Genet., 75, 1079-1093(2004).
    4) Tao J. et al., Am. J. Hum. Genet., 75, 1149-1154(2004).
  • 山田 智之
    2021 年 57 巻 9 号 p. 861
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル 認証あり
    2019年12月に中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行が続いている(2021年4月現在).
    このような背景のなか,COVID-19に対するワクチンが開発され(COVID-19ワクチン),各国で接種が進められている.これまでワクチンは,生ワクチンや不活化ワクチン等が認可されてきたが,COVID-19ではmRNAワクチンやウイルスベクターワクチン等の遺伝子を用いたワクチンを中心に開発が進められてきている.
    例えば,mRNAワクチンとは,新型コロナウイルスのスパイクタンパク質をコードするmRNAを,体内での分解を防ぐために脂質ナノ粒子で包みカプセル化したものである.ワクチン投与後はヒト細胞中に取り込まれたmRNAを鋳型としてスパイクタンパク質が生成され,免疫応答が誘導される.これらのワクチンは既存の生ワクチンや不活化ワクチンと異なりウイルス培養を必要としないため,従来型のワクチンと比較して迅速な開発と実用化が可能であり,2020年1月にゲノム配列が報告されてから1年足らずで実用化に至った.本稿では,Badenらが報告した2021年5月現在,モデルナと武田薬品工業が我が国で承認申請中のmRNAワクチンであるmRNA-1273の臨床試験結果を紹介する(注:本ワクチンは2021年5月21日に厚生労働省から特例承認を取得し,すでに接種が開始されている).
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Polack F. P. et al., N. Engl. J. Med., 383, 2603-2615(2020).
    2) Baden L. R. et al., N. Engl. J. Med., 384, 403-416(2021).
    3) Seki Y. et al., J. Infect. Chemother., 23, 615-620(2017).
    4) Dagan N. et al., N. Engl. J. Med., 384, 1412-1423(2021).
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