ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
談話室
「剤」と「薬」
坂本 謙司
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 58 巻 1 号 p. 88_1

詳細
抄録

私が学生時代に受けた教えの中の1つに「剤」と「薬」の区別がある.「『剤』は主薬に添加物を加えて製剤化したものを指すが,基礎研究で用いるのは化合物そのものなので,例えば,学会抄録などにおいては『阻害剤』ではなく『阻害薬』と書くように」と指導された.元々の漢字の意味から考えて,私は化合物そのものを指す際には「○○薬」と書いていただきたいと考えているのだが,実際のところ,話はそんなに簡単ではない.例えば,有機化学で用いられる「酸化剤」は「酸化薬とは書かれない.これは英語の”agent”の和訳に「剤」を用いることからきているのではないかと思われるのだが,漢字の使い方1つとってみても,なかなか悩ましいものがある.

著者関連情報
© 2022 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top