ファルマシア
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追悼
池川信夫先生を偲んで
江口 正
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2022 年 58 巻 10 号 p. 972

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抄録

恩師池川信夫先生におかれましては、当年 5 月12 日にご逝去されました。衷心よりお悔み申し上げます。
池川先生は東京大学応用微生物研究所助手、理研副主任、東京工業大学教授,いわき明星大学教授,新潟薬科大学学長等の要職を歴任されるとともに多大な研究業績を残されました。先生は微量分析並びに天然物化学分野で多くの研究業績を上げておられ、特にステロイドの分野では世界的権威者で、天然ステロイドの構造決定並びに合成、昆虫のステロイド代謝、活性型ビタミンD構造研究と合成、植物生長ホルモンの合成等が有名であります。これらの業績に対して,昭和53年第1回佐藤記念国内賞、昭和56年日本薬学会賞(学術賞)、昭和 57 年Tswett Chromatography賞受賞、平成3年島津賞等の数々の賞を受賞されております。このように,先生は生涯を学者としてのみならず,大学・学会の運営にも真に大きな貢献をなされ,平成11年薬学会功労賞を受賞され、平成14年には、勲三等旭日中綬章の栄に浴されました。
先生はいつも快活で明るく,周囲の人々を引きつけるお人柄で、教職員、学生に慕われていました。そのため先生の周りには自然と人が集まり、その生涯を通して研究の楽しさを門下生だけでなく、多くの人に伝えてこられました。先生を囲んでの池川研同窓会での先生の楽しそうなお顔が、今になってまた思い起こされます。あの温顔にもう接することができないのは、残念至極です。先生のご冥福を心からお祈りする次第である。

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