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持続的腎代替療法を受けている肝不全患者の抗凝固薬としてのクエン酸動態
上原 有貴
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キーワード: CRRT, クエン酸動態, ALF, ACLF
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2022 年 58 巻 10 号 p. 981

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抄録

持続的腎代替療法(CRRT)を受けている患者は,その施行中に抗凝固療法を行う必要がある.Kidney disease: improving global outcomes(KDIGO)ガイドラインでは,CRRTを受ける際の抗凝固療法においては,血液凝固カスケードの重要な補因子であるカルシウムイオン(Ca2+)をキレートし,抗凝固作用を示すと考えられるクエン酸が第一選択である.
クエン酸は肝臓で分解されるため,肝機能が低下する急性肝不全(ALF),慢性肝不全の急性増悪 (ACLF)では代謝が低下し,クエン酸中毒になる可能性がある.クエン酸中毒は,しびれや手指筋の攣縮,けいれんの出現,まれに意識消失に至る.これまでCRRT療法施行下でのクエン酸クリアランスは算出されているが,ALFやACLF患者でのクエン酸動態に関する研究は行われていない.本稿では,CRRTを必要とする重症肝不全患者に対するクエン酸動態を評価した報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Kellum J. A. et al., Kidney Int. Suppl., 2, 1–138(2012).
2) Thanapongsatorn P. et al., Sci. Rep., 12, 1815(2022).

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© 2022 The Pharmaceutical Society of Japan
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