2022 年 58 巻 11 号 p. 1082
大うつ病性障害(うつ病)の発症は若年層に多く,日常生活に支障をきたすため社会的影響が大きいにもかかわらず,抗うつ薬により効果が得られない患者が一定数おり,その治療抵抗性が問題となっている.Cussottoらは,現在利用されている抗うつ薬であるエスシタロプラム,セルトラリン(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI))およびベンラファキシン(選択的セトロニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI))について,うつ病患者に対する臨床効果が,患者の薬剤治療開始時のω-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)レベルと相関することを見いだしたので,本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Cussotto S. et al., Depress Anxiety, 39, 407–418(2022).
2) Carney R. et al., J. Clin. Psychiatry, 77, e138–e143(2016).
3) Lin P. et al., Biol. Psychiatry, 68, 140–147(2010).
4) Andreone B. J. et al., Neuron, 94, 581–594. e5(2017).