ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
トピックス
液―液相分離を利用したタンパク質の細胞内送達
真鍋 良幸
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 58 巻 6 号 p. 603

詳細
抄録

タンパク質をはじめとする生体高分子の細胞内への送達は,生体機能制御における重要な課題である.特に抗体に関しては,その応用範囲の広さから,細胞内送達法の開発が切望されている.一方,抗体の分子サイズは大きく(約150 kDa),親水性も高く,その細胞内送達は極めて困難な課題である.二木らは,2017年にはクモ毒由来の膜障害性ペプチドに変異を加えたL17Eを抗体と混合することで,抗体を細胞内に導入できることを報告していた.本研究では,二木らは,より効率的な抗体の細胞内送達を目指して検討を行い,液―液相分離(溶液が2つ以上の液相に分離する現象)を利用して,抗体とL17Eを液滴内に濃縮することで,これを達成した.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Akishiba M. et al., Nat. Chem., 9, 751–761(2017).
2) Iwata T. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 60, 19804–19812(2021).

著者関連情報
© 2022 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top