2023 年 59 巻 10 号 p. 893-897
本稿では、筆者らが開発した高反応性化学種を利用したヒスチジン残基(His)およびチロシン残基(Tyr)の修飾法と抗体の機能化について紹介する。触媒による一重項酸素の産生の反応場を大きさ約10 nm程度のIgG抗体に適用することで、Fc領域選択的なHis修飾を達成した。また、IgG抗体において相補性決定領域(CDR)に限定的に存在するTyrを標的とすることで、CDR選択的なTyr修飾法を開発し、化学修飾による抗体の免疫センサー分子化に成功した。