2023 年 59 巻 8 号 p. 715-719
難病に指定されている重症筋無力症 (myasthenia gravis : MG)は診断技術や治療法の普及に伴い死亡例や重症例は減少したが、長期的な寛解はまれで患者のhealthy-related quality of life (QOL)は健常人に比べて低い. 近年、重症筋無力症の新しい治療薬が次々と開発されて有効性が示されてはいるが、いずれも免疫システムを標的としており根治治療法とは言い難い. 重症筋無力症の自己抗原はアセチルコリン受容体 (AChR)とmuscle-specific kinase(MuSK)であるが、抗原産生および免疫系の感作のメカニズムは全くわかっていない. 本稿では最新の知見を紹介する.