生物学的に重要な
N-グリコペプチドの合成法として,固相合成法による直線的な手法およびフラグメントを用いた収束的な手法が確立されている.しかし前者では,大過剰量の
N-グリコシル化アスパラギンを必要とし,固相からの切り出しに用いる酸条件にグリコシド結合が耐えられないという欠点がある.後者は特定残基の選択的活性化が困難であり,アスパルチミド形成反応が併発する点が課題である(図1A).今回,これらを克服する方法として,チオアミドを利用した部位特異的な活性化を用いた糖ペプチドの効率的な合成法がTareshらにより報告されたので,本稿にて紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Taresh A. B., Hutton C. A.,
Angew. Chem. Int. Ed.,
61, e202210367(2022).
2) Pourvali A.
et al.,
Chem. Commun.,
50, 15963–15966(2014).
抄録全体を表示