ファルマシア
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固相合成と2段階切断反応による質の高いDNA-encoded libraryの構築
森本 淳平
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2025 年 61 巻 3 号 p. 255

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抄録

DNA-encoded library(DEL)は,大規模な化合物ライブラリーのスクリーニングを迅速に行うことのできる有用な手法である.DELの構築においては,化合物の構造情報がDNA配列でエンコードされた形で合成がなされる.これによって大規模な化合物ライブラリーのなかから,標的タンパク質に結合する化合物の構造を迅速に同定することが可能である.現在,世界中の研究者によって,ケミカルプローブおよび薬剤候補分子の探索にDELが活用されている.しかしながら,水溶液中でライブラリー構築を行うDELにおいては,DNAが溶解する水溶液中でDNAの損傷を抑えながら化合物合成を行う必要があるため,用いることのできる反応条件に大きな制約がある.そのために反応が定量的に進行せず,合成された化合物の構造がDNAにエンコードされた構造情報と対応しなくなるという問題がしばしば生じてしまう.このような問題を解決する手段として,Kellerらにより固相合成と2段階切断反応を利用した新規DEL構築法が開発されたので,以下に紹介する.

なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

1) Keller M. et al., Science, 384, 1259-1265(2024).

2) MacConnell A. B. et al., ACS Comb. Sci., 17, 518-534(2015).

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