2025 年 61 巻 9 号 p. 856
近年,アミノ酸は,タンパク質を合成する材料としてだけではなく,生体機能を調節する因子としても注目されている.細胞内にはアミノ酸センサーとして機能するタンパク質が存在するが,組織特異的に主要なセンサータンパク質が異なる可能性も考慮すると,生理活性物質としてのアミノ酸は,多岐にわたる生命機能の制御に関与していると考えられる.本稿では,必須アミノ酸の1つであるバリンのセンシングを基軸とした制がん機構を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Jin J. et al., Nature, 637, 215-223(2025).
2) Bertos N. R. et al., J. Biol. Chem., 279, 48246-48254(2004).
3) Wang D. et al., Science, 378, 983-989(2022).
4) Doglioni G. et al., Nature, 638, 244-250(2025).