抄録
アミノ糖であるグルコサミン(GlcN)は,グリコサミノグリカンの構成成分であるため,加齢とともに関節の変形や運動障害を伴う変形性関節症の予防・治療を目的に服用されている.そのため,軟骨代謝に及ぼす作用を中心にGlcN の研究がなされてきた.しかし近年,OA とオートファジーの関連が注目されている.そこで本研究では,GlcN のオートファジーに対する効果を,軟骨細胞を用いて検討した.
ヒト軟骨培養細胞株に対し,GlcN を添加し,24 時間後におけるオートファジー関連遺伝子およびタンパク質の発現を,RT-PCR 法およびウエスタンブロット法により評価した.その結果,オートファジーマーカーであるLC3-II のタンパク質量,および別のオートファジーマーカーであるBeclin-1,ATG5,ATG7 遺伝子の発現量が,GlcN 添加により有意に増加した.さらに,その際にSIRT1 タンパク質の発現量もGlcN 添加により有意に増加することが明らかとなった.
OA 患者の軟骨細胞において健常人と比較してSIRT1 タンパク質の発現とオートファジーが減弱していること,また軟骨細胞特異的にオートファジーを活性化したマウスではOA に対して保護的に作用することを考え合わせると,今回の結果は,GlcN が軟骨細胞においてSIRT1 タンパク質の発現を亢進し,オートファジーを活性化することにより軟骨保護作用を発揮する可能性を示唆するものと考えられる.