Functional Food Research
Online ISSN : 2434-3048
Print ISSN : 2432-3357
総説
老化促進モデルマウスSAM を用いた食品の機能性研究
片山 茂
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2022 年 18 巻 p. 10-14

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抄録

超高齢社会に突入した昨今,老化予防に関する関心が高まっている.機能性食品は手軽に摂取できることから人気が高く,様々な食品素材を対象にアンチエイジング食品の研究開発が盛んに行われている.機能性食品の科学的評価にはヒトを対象にした食介入試験が求められるが,機能性成分の作用機序を解明する上で,適切なモデル動物を用いた研究が重要な役割を果たす.老化促進モデルマウス(senescence-accelerated mouse, SAM)は自然交配から確立された老化促進と短寿命を呈するモデル動物であり,系統特異的に様々な老化関連病態を発症する.SAM マウスの老化は正常な成長過程の後に進展する促進老化であり,複数の遺伝的要因と環境要因が複合的に関与することがSAM の老化モデルとしての特徴である.SAM マウスを用いた老化研究は医学や薬学など様々な分野で幅広く行われているが,老化予防に資する機能性食品素材の探索においてもSAM は有用なモデル動物となり得る.本稿では,SAM マウスの特性や系統について概説した後,SAMP1 マウスを用いた外観老化抑制効果とSAMP8 マウスを用いた認知機能改善効果について紹介する.

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© 2022 ファンクショナルフード学会
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